子供の頃からずっと続いている、社会の状況の話をしたい。男女雇用機会均等法や男女共同参画社会というワードはあっても、結局男性のほうが収入面で優遇されているし、役職に男性が多い状況は変わっていない。本来、性別に関わりなくできる仕事を「女だから」という理由で任せてもらえない人は大勢いる。
たとえばどんなにしっかり日々の仕事をしていても、社員登用制度ありの職場で派遣として働いていると、何年経ってもお声が掛からない女性。いっぱいいる。一方でなんだかんだ男性の場合は、ある程度の要領さえ良ければ、同じ立場でもすんなり派遣から正社員に格上げされちゃう事例は、僕も数例程度だがこの目で見てきた。口では男女平等と言いつつも、実際にはそうではない。それが、僕がまだ学ランを着ていた20年ほど前から今に続く伝統だ。(文:松本ミゾレ)
終いには「この職場は女尊男卑だ」と言い出す
そしてまた、女性よりも収入面で優遇されているからというだけの理屈を背景にして、未だに世間には「男のほうが女より仕事はできる」と思い込んでいる男性がいる。これは大きな思い過ごしだ。
先日、おーぷん2ちゃんねるで「スレを立てるまでに至らない愚痴・悩み・相談part106」というスレッドを見つけた。その中に、男尊女卑極まりない不遜な男のせいで嫌な気分にさせられている女性の相談が寄せられていた。強い印象に残ったため、紹介したい。
長いので所々端折るが、この相談者、会社で男5人、女1人+上司という構成の部署に配属されているという。が、この男5人のうち1人がめんどうなタイプで、「仕事は男のもの。女はお茶を注いでいればいい」という考えの持ち主だそうだ。
何か仕事について話そうものなら「あ~いいからいいから」とまともに取り合ってくれず、そのくせミスはする。そして女性が訂正し、承認の印鑑だけ求めると無言で書類を受け取ってどこかに消えるという有様。なんでも、以前からこういう性格らしい。
しかもこの男、最近は新入社員との関係も悪く、相談者の女性が彼らと上手くやっているのを見て、上司に「○○さんは女の子だから、他のみんなが仕事を手伝ってくれている」と悪く言うのだとか。
もちろん上司もまともに取り合っていないわけだが、ともあれこんな人間と同じ職場の空気を吸うのはキツいだろう。
ところがイラつくポイントはここからだ。件の男は、自分の発言のせいで周囲からの評価が下がってきたのにもかかわらず、上司や周囲に「この職場は女尊男卑だ」と主張しているというのだ。相談者は「もうどう対応したらいいのか分からん」と心情を吐露している。
管理職が早めに「パワハラだ」と指摘していればこじれなかったのでは?
この相談については、女性への擁護の意見も多かった。「そのまま知らん顔してていいよ」や「気にしなくていい」といった、まあ誰もが相談内容を聞く限りはそう言うであろう書き込みが目立つ。
一番の問題は、そんな問題の多い男性社員を長い間放置してきた管理体制にあるだろう。もしも上司が、この男に「お前それは違うぞ、女性だからと言ってお茶を用意しろと言うのはパワハラだ」とでも懇々と諭していれば、違う状況になっていたんじゃないだろうか。ましてや男性は、道義的にどうかと思うような対応を相談者にしてきたわけだ。
こんな人材が1人混じっていることで、このチームは誰も得をしないイヤ~な雰囲気を共有することになった。もっと早い段階で指摘し、更正させていれば……と唱えるのは理想論かもしれないが、その理想論に応じる必要があるのが、他の労働者より多くお金をもらっている役職者の務めだ。
結局、問題児の対応が後手に回った挙句に、相談者だけがかなり割を食わされているような気になって仕方がない。今回の事例、「会社内で個人間でのいざこざを放置するとこうなる」という見本みたいなケースじゃなかろうか。