9度のグランプリ優勝経験を持つ元F1ドライバーのマーク・ウエーバーは、予選で天才的な速さをもつドライバーは誰かと問われれば、メルセデスのルイス・ハミルトンが、かつての偉大なF1ドライバーであるアイルトン・セナと同じレベルだと考えている。
ハミルトンは2018年シーズン、11勝と11回のポールポジションを獲得して、伝説のF1ドライバーであるファン・マヌエル・ファンジオと並ぶ5度目のF1世界タイトルを決めた。
シーズン前半はハミルトンをしのぐ成績をあげていたフェラーリのセバスチャン・ベッテルだが、その後チームや自身のミスにより失速、また夏休み以降はハミルトンの走りが強力になっていったことで、タイトル獲得への挑戦はくじかれることになった。
一方のハミルトンは見事な戦いぶりを見せ、F1史上初めて1シーズンの獲得ドライバーズポイントが400を超えたほか、ポールポジションの回数は累計で83に達し、今後2年間のうちには100の大台に乗せられる可能性も視野に入ってきた。
「これは以前、一度話したことだが、あらためて言おう。予選のハミルトンはセナ以降で最高のドライバーだ。つまり、1ラップではミハエル(・シューマッハー)よりも速い」とウエーバーはオーストラリアのSpeedcafe.comに語った。
「どう見ても、この40年間で間違いなくベストだ。予選1ラップではアイルトンに肩を並べるだろう」
「ルイスが土曜日にコースを外れることはあまりなく、ひとたびスピードを上げるべき局面になると、急激に速くなる」
過去の数シーズンにわたりハミルトンと競い合い、ライバルの傑出した能力を直接その目で見てきたウエーバーは、彼の弱点を見つけることは困難だと認めている。
■6度目のチャンピオン獲得の可能性も十分にあるルイス・ハミルトン
「ハミルトンの弱点がどこにあるのか本当に分からないんだ。だからこそ彼は危険なドライバーだと言える」
「後半戦のハミルトンは、確実にセバスチャン(・ベッテル)対策ができていた。彼がフェルナンド(・アロンソ)と同じくらいの力量を持っているのは誰もが分かっている。だからこそ彼は何年も努力を続けて、コースレコードを記録できたんだ」
現在33歳のハミルトンは、メルセデスとの契約を2020年までの2年間延長した。だがウエーバーは、2021年以降もハミルトンがF1の頂点にとどまり、シューマッハーの持つ7度の世界チャンピオンという記録に挑戦するほどのモチベーションを保てるかどうかは、2019年シーズンにかかっているのだと考えている。
「ハミルトンは偉大なF1ドライバーのひとりで、その強さも衰えていない。彼は今後も、様々な素晴らしい記録を打ち立てるはずだ」
「彼はどこまでも行くだろう。特に2019年に(6度目の世界タイトルを)獲得した場合はね」
「タイトルを獲得できるかどうかが、その後もモチベーションを保ち、ミハエルを追い抜く8度目のチャンピオン獲得まで挑戦し続けるかどうかの大きな試金石になると思う」
「ただ今後3年間走り続けるとして、最後には多くの人にとって彼に対する関心が薄れていくかもしれない」
「記録達成を見届けることができれば素晴らしいだろうけど、8度のチャンピオンを獲得するころには本当に数多くのレースで戦う必要があるだろうからね」