トップへ

X JAPANのToshlやSUGIZOまで、なぜ食レポに挑戦? ミュージシャンの“YouTuber化”を考える

2018年12月19日 07:32  リアルサウンド

リアルサウンド

続々とCDデビューするYouTuberたち


 12月21日に放送される『MUSIC STATION スーパーライブ 2018』(テレビ朝日系)に出演する、ヒカキン&セイキンを筆頭に、アニメ『七つの大罪 戒めの復活』のオープニングテーマを担当したスカイピース、今年メジャーデビューを発表したワタナベマホトとimigaのヒップホップユニット・カイワレハンマー、レイターズらが立ち上げたバンド・Candy or Whipは主催イベントで武道館のステージに立つ……など、例をあげていたらキリがないほど、YouTuberの音楽活動が目立っている。


(参考:バンドマンがYouTuberを名乗るメリットは? グッドモーニングアメリカ たなしんの場合


 もともとミュージシャン志望だった、これまでと違う層の人気を獲得したい、リアルイベントのためにオリジナル曲が欲しいなど、様々な理由が考えられるが、今や人気YouTuberにとって音楽活動は当たり前のことになっている。


 さて、YouTuberが音楽活動を行うのであれば、その逆もまた存在する。


ミュージシャンもまた、YouTubeで食レポをアップしている


 先日UUUMへの所属が発表された、夕闇に誘いし漆黒の天使達もYouTuberとして人気を獲得しているが、元は厚木を拠点に活動するラウドロックバンドであり、ライブ活動も並行して行っている。


 また、ヴィジュアル系バンド・己龍らを擁するB.P.RECORDSも、自身のチャンネルで、YouTuber活動をスタートさせた。自身らの楽曲解説だけでなく、レーベルに属するバンドメンバー全員でコーラにメントスを入れた動画だったり、海外ツアー先でマクドナルドの全メニューを制覇したり、「ATMはいくらまでお金が入るのか?」という検証動画など、いかにもYouTuber的な動画を毎日(毎日更新というのもYouTuber的だ)アップロードしている。


 さて、ミュージシャンがYouTuber的な活動をすることも、さほど珍しいことではなくなった昨今、山が動いた。11月22日には、X JAPANのToshlが期間限定でYouTuber活動を開始したのだ。


 この動画の提供は大手食品会社の明治。いわゆる「(企業)案件動画」だ。スイーツ好きミュージシャンとしても知られる氏が、明治 北海道十勝純乳脂45(生クリーム)を開封し、スイーツをデコレーションし、それを自らスーパーで試食販売するという流れになっている。第一回の動画は現段階(12月中旬)で27万再生以上を突破。オーソドックスな商品紹介動画なのだが、「パッケージの衛生面」に着目したり、唐突にゴムベラへの愛をつぶやくなど、ながなが油断できない内容になっている。


 もともと「オールナイトニッポン」などのラジオパーソナリティをつとめていたこともあって、一人喋りが達者であること、そして今年無人の幕張メッセを全力で盛り上げたバンドのフロントマンだけあって、Toshlはオーディエンス(視聴者)の目を引くのが上手いのだ……というのは考えすぎか。


 そして同じくX JAPANのメンバーであるSUGIZOも自身のチャンネル「SugizoTube」で、食レポ動画をアップしている(つまりX JAPANにはすでにYouTuberが2人いるということになる)。「SugizoTube」は氏のMVやミュージシャンたちをゲストに招いてのトーク、最近ではパレスチナにて行ったライブ映像など、様々な動画がアップされている。そこに突如今年8月「天下一品 in 京都」と銘打った食レポ動画がアップされたのだ。


 天下一品(ラーメン)、からCacao ∞ Magic(ローチョコレート)、あつた蓬莱軒(ひつまぶし)など、氏自身の愛好するメニューを解説しながら食すという動画なのだが、これがなかなかおもしろく、たとえば「グルテン無礼講(※氏は普段グルテンフリーの食生活なため)」、「(こしょうや山椒を)バシがけ」などといった独特な表現を使用し、他にもひつまぶしを日本の庭園に見立てつつつ「小宇宙」につなげるなど、食レポ動画でもSUGIZOならではの世界観を爆発させている。


 今後もタレントやミュージシャンがYouTuberとして活動することも増えてくることが予想されるが、単なる企業広告や自己満足にならない、ミュージシャン自身の個性や適性を活かした動画がアップされることを期待したい。


(藤谷千明)