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自称「桑名正博の長男」がやりたい放題、遺族は止められず苦悩

2018年12月18日 14:22  弁護士ドットコム

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歌手の故桑名正博さんの「長男」「隠し子」を名乗る男性が出没、遺族は困惑しているとテレビなどで報じられています。その男性は桑名さんの名前を出し、各地で食事をおごってもらったり、宿泊先の提供を受けたりしたそうです。


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また、今夏には福島県のコミュニティラジオにも出演、歌を披露したり、父親や他の兄弟の思い出を語ったりしたとされています。ラジオ局は後日、事前の確認がなかったとして謝罪しています。


桑名さんと男性の関係は不明ですが、桑名さんの長男で歌手の美勇士(みゅうじ)さんは12月13日、Twitterで「一番心配すべくは被害にあわれた方々や、これからもまた桑名正博の息子、と語って同じことを繰り返さないかですので、口コミでよいので拡散して気をつけてください」と呼びかけました。



グッディ見てくださった方々からたくさんの心配のご連絡頂いております、ありがとうございます。一番心配すべくは被害にあわれた方々や、これからもまた桑名正博の息子、と語って同じことを繰り返さないかですので、口コミでよいので拡散して気をつけてください。 pic.twitter.com/BBq3iu8Gnc


— 美勇士 (@myuji69) 2018年12月13日

また、翌日のTwitterでも、「知人が捕まえて警察にも行ってますが、被害届が出ていないということと、証拠がないということですぐ釈放となってる次第です」と投稿。対応に苦慮している様子がうかがえました。


なぜ遺族は男性の行動を止めることができないのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。


●「詐欺罪にあたるかどうかの判断は簡単にできない」

「桑名正博さんって格好いいですね。何とも不可解なニュースですが、法律的な観点でお話をさせて頂きたいと思います」


男性の行為が現時点で、詐欺罪などに問われていないのはなぜでしょうか?


「普通に考えれば、桑名さんの息子であることを明らかにして、飲食の提供を受けているわけですから、『詐欺にあたるのでは?』と思われそうですね。


しかし、詐欺にあたるかどうか、という判断は簡単にはできません。詐欺罪でいうところの『人を欺』くといいのは、人を錯誤に陥らせて、相手方が財産的処分行為をなすための判断の基礎となるような事実を偽ることを意味します。


ざっくり説明しますと、相手方を騙して金品をだまし取ろうとしないといけません。今回の件で自称息子が単に名前を語っただけで、相手方が好意で飲食を提供したのであれば、『人を欺』くとは言いにくいんです」


遺族が今後、男性に対して何かできる法的措置はないのでしょうか?


「名誉毀損が考えられます。刑法の名誉毀損罪については、公然と事実を摘示して、人の名誉を毀損した場合に成立します(刑法230条1項)が、死者の場合は、死者の名誉毀損罪(刑法230条2項)が別途定められています。親告罪ですので、遺族の告訴が必要になります。


死者の名誉毀損罪の難しさは『虚偽の事実』に限定されていることです。この要件をどうクリアーできるか、ということが重要になります。今回の詳細は不明ですが、虚偽であることが証明されることは、そう簡単なことではありません。


あとは、民事で何らかの損害賠償請求をすることも考えられます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/