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東海オンエア・てつや、「いぼ痔」治療の一部始終を公開 人気YouTuberの影響力を考える

2018年12月18日 14:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 人気YouTuberグループ「東海オンエア」のリーダー・てつやが、以前から悩まされていたいぼ痔の手術を行ない、診断から退院まで、その一部始終を動画として公開。12月15日にシリーズが完結した。


(参考:東海オンエア、政府広報提供の動画を公開 “過激派YouTuber”が公的機関にも重用される理由は?


 東海オンエアは、愛知県岡崎市を拠点に活動する、6人組のYouTuberだ。チャンネル登録者数400万人に届こうかという人気者で、お世辞にも品がいいとは言えない、過激なチャレンジをすることも多い。昨年、ヒカキンやフィッシャーズなどが所属するUUUMへの加入を発表した際には、大盛り上がりのなかで、「大手事務所に入って、これまで通りの動画は撮れるのか……?」と懸念するファンも少なくなかったが、今も元気に、モザイク満載の動画を投稿している。


 『【まさかの診断結果】てつやの「いぼ痔治療記」~決意、診察編~』という動画が公開されたのは、11月2日。冒頭、てつやは「僕にはかねてから悩みがありました。悩みというか、もはや危機です。僕の体には、異常が起きておりました」と切り出す。メンバーからは「あの手汗にはみんな困ってた」「脇汗にも困ってた」「足も臭えしな」「歯も汚いし……」と散々言われたが、その悩みとは、ファンにはおなじみの「いぼ痔」だ。2年ほど前からいよいよ何とかしなければ、と考えていたそうだが、「せっかく手術するなら、一部始終を公開する」という、何でもネタにしてしまう彼らしい決断があり、それを許してくれる病院を探し続けていたという。そして今回、協力してくれる病院が見つかった。愛知県豊田市の「家田病院」だ。


 病気を笑いのタネにするものではない、と思う人もいるかもしれない。行動は時に常軌を逸しているが、基本的に心は優しい東海オンエアメンバーのこと、そのあたりはしっかり考え、慎重に病院にアプローチしていたのだろう。同院の院長はそんな彼らの要望を受け、「肛門の病気は、人に言いづらい。それを影響力のある人気YouTuberが世の中に発信することで、これまで恥ずかしくて言えなかった人も、病院に行くきっかけになるのではないか」として、取材・撮影を許可したそうだ。


 モザイクこそ入っているものの、わりと全編にわたって閲覧注意の内容だが、普段とは違う、病院というかしこまった場で、てつやは院長の説明を受け、診察、手術、入院と、等身大の正直なレポートを行なっている。詳しくは、『【圧倒的医学】てつやの「いぼ痔治療記」~手術編~』『【入院の全てを見せます】てつやの「いぼ痔治療記」~入院編~』と続く動画を見ていただきたい。


 さて、退院の日、てつやは感謝の印として菓子折を準備していたが、院長は「患者から物は受け取らない」というポリシーを持っており、丁重に断っていた。しかし入院中、同じく人に言いづらい病気を抱える人同士、仲良くなることも多いという院内の談話室に、「遊ぶものが将棋しかない」ということに気づいたてつやは、ボードゲーム各種を「忘れていった」。常に楽しいことを考えているYouTuberらしい気遣いである。


 普段、YouTuberの動画を見ない人には伝わりにくいところかもしれないが、彼らの動画は100万再生を超えるのが当たり前で、今回のシリーズでも、「決意、診察編」は12月17日時点で280万再生を超えている。あるいはテレビで芸能人が同様の企画を行えば、より高い啓発効果があるかもしれない。しかし、彼らは視聴者とより近い存在で、またその再生回数の多くがテレビのように流れてくるものというより、主体的に選んで視聴されたものだと考えると、影響力はバカにならないものがある。実際、家田病院にはすでに、動画を見た視聴者が診察に訪れているという。


 注意が必要なネタであることは間違いないが、笑えて、ためになって、人によっては勇気がもらえる今回の企画は、その影響力の正しい使い方だと言えるのではないか。メンバーの立ち回りも正しく、てつやのことは小バカにしても、痔という病気そのものを軽く見たり、奇異の目を向けたり、という要素はまったくなかった。


 あとは、過去に行なわれた『ケツの中身はなんじゃろな!?』(活字にしてはいけない気がするので、説明は省く)のような企画で、てつやが肛門を酷使することなく、それでいてこれまでどおり、東海オンエアがバカバカしく笑える動画を届け続けてくれることを期待するばかりだ。


(橋川良寛)