企業口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」は12月6日、「30代が働きやすい企業ランキング」を発表した。
仕事でもプライベートでも転機が訪れやすい30代。仕事と家庭との両立に悩む人や、本気でキャリアアップを目指す人が増える年代に支持されるのは、どのような企業だろうか。
「キャリコネ」の30代のユーザーによる「労働時間」「やりがい」「ストレス」「休日」「給与」「ホワイト度」の6項目の評価の平均点(総合評価)が高い企業をランキング化した。【参照元:キャリコネ】
トヨタ自動車「社内施策どおり準備すれば、十分な老後資金が準備できている」
上位には、「労働時間」「休日」の評価の高い企業が集中した。電気機器や自動車など、機械関連のメーカーがトップ5までを独占。歴史が長く、交渉力のある労働組合の存在によって労働時間の管理が行き届いていることが、評価につながっていると考えられる。
4つの事業所内託児所を持つ「トヨタ自動車」、毎年新1年生にランドセルを贈呈する「ソニー」、子どもの急病の際に取得できる休暇制度がある「荏原製作所」など、子育て支援策に力を入れている企業が上位にランクインしているのも興味深いところだ。
一方、平均年齢が約35歳と若い人材が多く、早くからマネージャーになる人が多い「リクルートホールディングス」も、「やりがい」の項目でトップの評価を得てランクインしています。トップ10入りした企業の採点項目別の得点や、30代のユーザーの口コミも紹介する。
1位:トヨタ自動車
「入社して3年を目処に独り立ちすることが求められます。それ以降は、上司の承認を得ながら、与えられた仕事のやり方を自分の裁量で決められるようになります。年々仕事の幅が広がっていき、任せられる仕事の責任も大きくなりますが、車好きにはやりがいのある職場環境であると思います」(研究開発/30代前半男性/年収680万円/2012年度)
「社内預金は持ち家目的であると利率が優遇される。住宅ローンも特別に優遇されたプログラムが準備されている。また、トヨタホーム関連の物件であるとさらに優遇される。企業年金も充実しており、社内施策どおりの準備をしておけば、退職の頃には十分な老後資金が準備できていると思われる」(管理関連職/30代前半/年収700万円/2012年度)
2位:ソニー
「開発からサポートまで一貫して事業を展開している点はメーカーならではの醍醐味。加えて、世界各国に商流を張り巡らせてので、担当製品がエンドユーザーの目に触れる環境が一定レベルで担保された状態で競合と勝負できることは大きな優位点だと感じます。通常、マーケティングの業務は他社では機能が細分化されているケースが多いものの、ソニーの場合は商品戦略、販売戦略はもちろんのこと、宣伝、サービスに至るまで多くの判断に携わることができます」(マーケティング/30代前半男性/年収850万円/2016年度)
「休職制度は非常に恵まれており、休暇・休職後も元の職場で働けます。また子育て期間の、男性の自宅勤務なども例があるようです。二回以上育児休職している人もおり、子どもを産みたい人にはとても働きやすい職場ではないでしょうか」(ソフトウェア関連職/30代前半男性/年収774万円/2010年度)
3位:荏原製作所
「客先が国内、海外にあるので自分ではなかなか行くことができないような国に行くことができる。ちょっとした旅行気分を味わえる。仕事は、装置を一から組み立てるのはでかいプラモを作ってる感じで自分的には非常に楽しい。また組み上がった装置が自動運転するようになったときの達成感は大きい」(生産・製造技術/30代前半男性/年収500万円/2009年度)
「独身寮があり、既婚者には社宅制度があります。最近では、社宅をなくし、家賃補助に切り替わりました。家賃補助の内容はかなり良いです。都心での生活を考えると、家賃補助を期限まで活用すると助かります」(機械設計/30代後半男性/年収700万円/2013年度)
パナソニック「働き方改革で残業をなるべく減らす取り組み。上司も率先して早く帰る」
4位:リコー
「ワークライフバランスに重点を置いている会社で、20時を過ぎれば社員のほとんどが退社している環境です。残業代は稼げませんが、そのぶん、家族との時間を増やしたり、就業後の勉強をしたり、友達と飲みに行ったり色々とできると思います。そういった社風は秀でている会社だと思います」(マーケティング/30代前半男性/年収550万円/2017年度)
「適度にアットホームな雰囲気がありますし、そのなかで少しは厳しい部分もあります。部署にもよりますが適度に飲み会などもありました。残業も規制があるのでそこまで過酷な労働環境にはなかったです」(機械設計/30代後半男性/年収750万円/2013年度)
5位:パナソニック
「働き方改革で残業をなるべく減らすような取り組みがなされています。上司も率先して早く帰っています。研究所は働く時間に関して比較的本人に裁量があり、ほとんど残業しない人もいれば、30時間程度する人もいます。休日出勤については、どうしようもないとき以外はありません。休日出勤した場合は平日に代休を取る制度になっているため、出勤日数も休日の日数も変わりません」(研究開発/30代後半男性/年収850万円/2018年度)
「(報酬に関して)不満なし。そこそこの給料をもらえていたと思います。残業は基本的にはすべて対価が支払われていた。査定は仕事の出来不出来によって上司が評価する。評価する側の研修も行われており、それなりに公平だと思った」(システムエンジニア/30代前半男性/年収600万円/2012年度)
6位:三菱UFJ銀行
「有休取得は全行的に推奨されており、長期休暇、ミニ連休、スポット休暇など、事前に予定を伝え、人員の調整が問題なければ取れるので、非常に取得しやすい。また、支店、部署により異なるが、体調不良などで突発的な休みも取りやすい」(コンサルティング営業/30代前半男性/年収800万円/2017年度)
7位:リクルートホールディングス
「『仕事の報酬は仕事』というスローガンが社にマインドとして根付いていることもあり、とにかく皆仕事に対するマインドは高く、事実営業であれば、予算を達成しなくては社にいる意味がないので、皆何が何でも数字を達成するために頑張ります。そして、達成すればしただけきっちりとフィーが還元されるので、とてもやりがいがあります」(企画営業/30代前半男性/年収600万円/2013年度)
8位:SMBC日興証券
「原則休日出勤なし。残業は各自の裁量に任せられているため、仕事を早く終わらせる(または翌日以降に回す)ことで早く帰ることも可能。時間管理は社会人の基本であるため当然ですが。有休は取得することを推進しているため、休暇取得しづらい雰囲気はないように思われる」(営業企画/30代前半男性/年収1000万円/2015年度)
9位:日本ヒューレット・パッカード
「福利厚生は、保養施設の数の多さや補助金等、とても充実していました。社内研修もwebトレーニングや社外講習含めとても充実しており、基本的には希望した研修には参加可能な状態だったためよく活用していました。仕事以外で部外の知り合いができるきっかけにもなり、知識習得以上の成果を得られる場でもありました」(その他職種/30代後半女性/年収600万円/2014年度)
10位:本田技研工業
「有休を20日年間で与えられ、残日数を20日以内にすることが、組合の力でマストとなっている。そのため、有休はかなり取りやすい。また年間5万円分のポイントが付与され、健康維持や自己啓発に使える点は良い」(テストエンジニア/30代前半男性/年収740万円/2017年度)
調査対象は、『日経業界地図 2018年版』(日本経済新聞出版社)に記載があり、対象期間中に「キャリコネ」に30代のユーザーから10件以上の評価が寄せられた企業。対象期間は、2017年4月~2018年3月。