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謎多き「名張毒ぶどう酒事件」追う、東海テレビ製作の記録映画『眠る村』

2018年12月17日 20:11  CINRA.NET

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『眠る村』メインビジュアル ©東海テレビ放送
映画『眠る村』が2月2日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開される。

同作は、東海テレビがドキュメンタリー作品の劇場上映プロジェクトとして立ち上げた「東海テレビドキュメンタリー劇場」シリーズの第11弾。1961年に三重・名張の葛尾村で起こった「名張毒ぶどう酒事件」の容疑者となり、無罪を訴え続けるも死刑判決を下された奥西勝や、村人たちの姿などを追う。

「名張毒ぶどう酒事件」は、ぶどう酒に混入した毒物により5人の女性が死亡した事件。逮捕された奥西勝は当初「妻と愛人との三角関係を清算するためだった」と自白していたが、初公判で一転して自白は強要されたものであり、自身は無罪であると主張。一審は無罪となったが二審で死刑判決となり、最高裁は上告を棄却した。奥西は再審を求め続けるも、2015年に89歳で獄死した。東海テレビ放送は同事件を長年にわたって報道しており、1980年代以降は3代のディレクターが事件を巡るドキュメンタリー作品を制作している。

監督を『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』『伝える、つなぐ~名張毒ぶどう酒事件報道の40年~』の齊藤潤一と『ふたりの死刑囚』の鎌田麗香、プロデューサーを『ヤクザと憲法』『人生フルーツ』の阿武野勝彦が務める。『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』で奥西勝役を演じた仲代達矢がナレーションを担当した。

発表とあわせて予告編とメインビジュアル、場面写真が公開。事件発生当時のモノクロ映像が織り交ぜられた予告編には、「誰か一人はここ(葛尾)からお縄を付けて出さないといけなかったんですよ」という言葉や、「戦後唯一、無罪から逆転、死刑判決」というコピー、奥西の妹・美代子が「兄は絶対やっておりません」と訴える姿、「奥西さんがやっぱりやったと思います?」と問われた男性が「あんたらの想像に任しとく」と返答する様子などが確認できる。

場面写真には事件発生当時の奥西勝や、裁判所を前にした奥西美代子の姿、メインビジュアルには「本件、未だ解決を見ず」というコピーなどが写し出されている。

なお「東海テレビドキュメンタリー劇場」シリーズではこれまでに『ヤクザと憲法』『人生フルーツ』などを発表。今年10月に『第66回菊池寛賞』を受賞した。