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「婚姻歴によって区別する社会であってはならない」 駒崎弘樹氏がシングルマザーへの寡婦控除適用問題を語る

2018年12月17日 11:51  キャリコネニュース

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自民・公明両党は12月13日、児童扶養手当てを受けている未婚のひとり親に対して、住民税が非課税になる条件を緩和することで合意した。今後は、配偶者と死別・離婚をしたひとり親と同じように、年収204万円以下なら住民税がかからなくなる。さらに年収365万円以下の未婚のひとり親には来年度から年1万7500円を給付するという。

ただし、死別・離婚したひとり親には適用される寡婦(夫)控除は依然として適用されず、所得税への控除はない。

住民税が軽減されるため、シングルマザーの貧困対策としては一歩前進だと言えそうだが、NPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんは、「行政は個人の生き方に中立であるべきであり、婚姻歴によって区別するような社会であってはいけない」と批判する。

「親が結婚していようといまいと、子どもは等しく健やかに育つ権利を持っている」

寡婦(寡夫)控除は、死別もしくは離婚したひとり親の場合、年収に応じて27~35万円が控除される仕組みだが、婚姻歴のないひとり親には適用されない。公明党は、子どもの貧困対策のため、未婚のひとり親にも寡婦(寡夫)控除を適用するよう求めていた。

自民党はこれに対して"未婚のまま子どもを産むことを助長する"として反対していた。今回の決定は、自民党が公明党の要求を一部受け入れた形だ。

駒崎さんは、個人の自由や子どもの権利といった観点から今回の決定を批判している。

「どのように生きようと個人の自由のはず。結婚をしないで子どもを産むことに対して『ダメ』と言われる筋合いはありません。税負担の軽減等は貧困への対応として『ないよりはまし』ですが、婚姻歴の有無による区別を設けてしまった点は問題だと思います。また、親が結婚していようといまいと、子どもは等しく健やかに育つ権利を持っています。子どもの権利という観点からも親の婚姻歴によって差別するのはおかしいと思います」

自民党が寡婦控除の対象拡大に反対していたことについては、

「自民党の保守派の議員は『未婚のひとり親が増えたら困る』として寡婦(夫)控除の適用に反対していましたが、一体何が困るというのでしょうか。度し難い頑迷さだと思います」

と批判していた。

厚生労働省の調査によると、日本での婚外子の割合はわずか2.11%。しかしスェーデンでは55.47%、フランスでは49.51%に上る。フランスの場合、結婚よりも制約の緩やかなPACS(民事連帯契約)で結ばれるカップルや日本における「内縁」に近い「コンクビナージュ」という形を取るカップルも少なくない。