2018年12月17日 10:22 弁護士ドットコム
年末の仕事納め、年始の仕事始めでトップが挨拶するので休みにくいーー。公務員や会社員のなかには、こんな不満をもつ人もいるだろう。形式的なあいさつの場とはいえ、軽視もできない。家族から「なんで有給休暇取れないの?」と言われ、困った経験はないだろうか。
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「儀礼的なものはやめよう」。こんな成沢広修区長のひと声から、今回、年末年始のお決まりの光景に風穴をあけるのが東京都文京区だ。
文京区は12月28日の仕事納めと、1月4日の仕事始めでの区長あいさつを廃止し、「最大10連休」を取得するよう、職員に奨励することを決めた。どんなねらいがあるのか、文京区職員課長の松永直樹氏に聞いた。
ーーねらいを教えてください
「まず、もともと働き方改革を進めていかなければいけないという思いがありました。今年4月ごろ、管理職を集めて区長が話をしているなかで、年末に最後のあいさつをするときに全管理職が集まるというのは、いかがなものかという話がありました。
区長は『もうそういう時代じゃないよね、儀礼的なものはやめよう』ということでした」
ーーそこから廃止にする方向で議論を進めたのですか
「10月ごろになって、今年の12月28日は金曜日で1月4日も金曜日だよねという話が改めて出て、それなら1月4日の挨拶もやめようという話になりました」
ーー職員にはいつ伝えたのですか
「11月中旬に課長会を開いて、そこで周知しました。ただ、住民サービスが滞ってしまってはいけないという前提はあります。
例えば戸籍業務など窓口業務がある部署ではみんなが休んで対応できないというわけにいかないので、そこはしっかり対応するということになります」
ーー職員の反応はいかがですか
「やはり、管理職が休むことができれば一般職員も積極的に休める環境になります。当然ながら、これまでよりも休みやすい雰囲気にはなっていると思います。今回限りではなく、今後も区長あいさつはやらないことになると思います」
他の自治体はどうか。朝日新聞(12月5日付)によると、千葉市が今年、年末恒例となっている「仕事納め式」をやめることを決めた。
例年は幹部クラス200人以上が本庁舎に集まり、市長による訓示を受けていたが、「働き方改革への逆行」を内部で指摘され、見直しを検討していたという。
他にも、政令指定都市では川崎市や浜松市、神戸市などが仕事納め式を実施していないという。
時事通信は12月14日、長野県庁で毎年開いてきた年末の仕事納め式と年始の仕事始め式を取りやめることになったと報じた。有給休暇を取得しやすい環境にするねらいだという。
(弁護士ドットコムニュース)