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来年はVTuber&ドラマがカギ? 最強YouTuberたちが未来示した『YouTube FanFest2018』レポ

2018年12月17日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 YouTubeが主催する世界規模の祭典「YouTube FanFest」(以下YTFF)が12月11.12日に幕張メッセイベントホールで開催された。


(参考:ヒカキン、フィッシャーズ、kemioなど人気クリエイター続々登場 「YouTube FanFest」レッドカーペットレポート


 今年のYouTubeシーンを盛り上げたクリエイターたちが一同に集結したこのイベント。司会を水溜りボンドが務め、HIKAKIN、SEIKIN、東海オンエア、フィッシャーズなどが出演、今年のYouTube界を総括するイベントとなった。


 オープニングを飾ったのはHIKAKIN&SEIKIN。「今」のイントロが流れた途端、幕張メッセイベントホールに集まった10,000人以上のオーディエンスは序盤にも関わらず最高潮の盛り上がりを見せた。この規模でのイベントは初めてというHIKAKINだったが「広くて歌うのが気持ちいい」と存分にステージを楽しんだ様子だった。


 次にパフォーマンスを披露したのはアバンティーズ。tofubeatsがプロデューサーを務めた新曲「Play New Would」を高らかに歌い上げた。tofubeatsらしいシティポップの要素を含みつつ、アバンティーズの持つフレッシュさとエネルギッシュさが表れたステージは、彼らのこれまでの印象を大きく変えるものだった。まだまだ成長していくというアバンティーズの野心を感じさせるパフォーマンスと楽曲に多くの観客が沸き立った。


 続いては現在全国ツアー中のスカイピースが「雨が降るから虹が出る」「オタパリダンシン」の2曲を披露。YouTuber界でも高いパフォーマンス力に定評のあるふたり。その一挙手一投足に動画でのキャラクターそのままの人懐っこさが感じられた。仲のいい水溜りボンドと絡む時間がなく、名残惜しそうにステージを去るふたりの後ろ姿がなんとも印象的だった。


 ボカロPとして初めてYTFFに参加したのが、みきとPだ。12月20日に代官山LOOPでワンマンライブも決まっているみきとPだが、この日は盛大なコラボレーションでフロアを盛り上げた。「サリシノハラ」をしっとりと歌い上げたのち、「いーあるふぁんくらぶ」でフィッシャーズ、まあたそ、よきき、はなお、Ryuuu TV、スカイピース・イニ、はじめしゃちょーをステージに呼び込んだ。


 続く「ロキ」ではVTuberのキズナアイ、ミライアカリがダンサーとして参加。さらにボーカルにまじ娘を加え、熱量のあるパフォーマンスで会場のボルテージは最高潮に。この日出演者の中で最も多い3曲を披露したみきとPは、アーティストとしての実力をしっかりと見せつけ、ステージを後にした。


 この日のトリを務めたのはフィッシャーズ。今年のトップトレンドに1位、3位、5位、9位と4本の動画がランクインした彼らは、その人気を体現するようにこの日1番の歓声を受けながら登場。「サヨナラまたな」「未完成人」の2曲を披露し、会場をピースフルな空気が包み込んだ。


 ライブステージだけでなく、トークセッションでも多くのクリエイターがステージに登場した。中でもYTFF初出演にしてMCを務めた水溜りボンドは何度も視聴者への感謝を伝えていた。彼らは昨年、バックヤードで悔しい思いをしており、念願の舞台だったという。盟友である東海オンエアのてつやも「水溜りがMCやってて隣に俺らがいるってのが感慨深い」と2組の友情を感じさせる場面も。客席からは自然とあたたかい拍手が起こった。


 今回のイベントを機にYouTuber界は新たなステージへと進み始めた。2015年頃からYouTuberという業界は爆発的なムーブメントを作っていった。HIKAKINやワタナベマホトといった古株の動画クリエイターを中心にYouTuberの認知度をあげていき、テレビ出演などを通じてその知名度はお茶の間レベルまでかけ上がった。


 今年に入り、その活動はYouTube外までへと広がっていった。音楽活動ではHIKAKIN&SEIKIN、フィッシャーズが「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)出演を果たし、全国各地で行われたイベントでは多くのファンが集った。そしてYTFFではYouTube Premiumのオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」にはじめしゃちょー、水溜りボンド、フィッシャーズ、東海オンエアなどのクリエイターの参加が発表された。劇団スカッシュの動画から制作された『隙間男StalkingVampire』とはじめしゃちょー主演『The Fake Show』が12月12日に公開されている。他にも各クリエイターが主演を務めるオリジナルドラマが続々と製作中とのこと。演技という新しいジャンルをきっかけにYouTuber界に新たなスターが現れるはずだ。


 またVTuberとの邂逅も今回のハイライトのひとつだった。イベント中盤で行われたチャンネル登録者100万人達成表彰ステージではアバンティーズ、さんこいち、恭チャンネルなどに加え、キズナアイのゲームチャンネル「A.I. Games」に金の盾が送られた。視聴者への感謝を語るとともに「今後はどんどんコラボもやっていきたいです。みなさんコラボしてください」と積極的な姿勢を見せた。


 今年1年間でYouTuber界は知名度を広げていく2次元的な拡張を行なっていき、その成果として今年新たに24組の100万人登録者を生んだ。そしてYTFFをターニングポイントに、来年はコンテンツを増やし界隈自体の強度をあげていく3次元的な拡張へとYouTuber界は進んでいくだろう。今後も彼らの活躍を期待してしまう、そんなワクワクの詰まったイベントとなった。


(馬場翔大)