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音楽アプリ『Bloom』は何が革新的だった? 『Bloom: 10 Worlds』発売を機に考察

2018年12月16日 10:52  リアルサウンド

リアルサウンド

 音楽アプリ『Bloom: 10 Worlds』が発売された。同アプリは、2008年に配信開始された『Bloom』の10周年記念バージョン。新たな機能を搭載しつつも操作性はシンプルにこだわったものになっており、ユーザーを楽しませている。


(参考:ビートに合わせて視覚効果が変化? ローランドによる動画加工アプリ『Beat Sync Maker』レポ


 『Bloom』は音楽家であるブライアン・イーノとピーター・チルヴァースが制作したアプリ。画面に触れるだけで様々なパターンのメロディを作ることができ、タップをやめても自動的に音は鳴り続ける。音楽的な能力や技術を必要とせず、誰でも簡単に音楽を作ることができるのだ。“画面に触れるだけ”というシンプルな機能性もまた万人に受け入れられた理由だろう。


 しかし同アプリが革新的だったのはそのアート性だ。スクリーンをタップするだけで音とともに色のついた円が浮かんでくる。円が徐々に波紋を広げていったり、円同士が重なり合い新たな色が生まれたり。音とアートが組み合わさった楽器は、当時とても新鮮に感じられた。また、アプリそのものがインスタレーションの延長線上として成立していたのも驚きだった。『Bloom』が生まれたことをきっかけに、スマートフォンを使用した未来の楽器に対する期待値がさらに高まっていったのだ。


 同アプリ製作者であるブライアン・イーノは、音楽活動の他にも、映像、光、音を合わせたインスタレーション作品でも評価されている芸術家だ。『Bloom』は、音楽とアートの関係性に意識的であったブライアン・イーノならではのアプリだったといえるだろう。


 今回発売された『Bloom: 10 Worlds』は、基本的な操作はオリジナル版と変わらないが、10種類ある “World” というものを通じて、様々な種類の法則を持った音や形を楽しめるようになった。円、ストライプ、トライアングル……1つのパレットで様々なグラフィックが浮かび上がり、幾何学模様のようになっていく。バージョンアップしたことで、より豊かになった音と映像のパレットを鑑賞することができるのだ。


 同アプリはiOSはもちろんのこと、今回初めてAndroid 端末でも対応可能になった。『Bloom: 10 Worlds』を使って多彩な音楽とアートの世界を体験してみるのはいかがだろうか。


(北村奈都樹)