ファンブースも利用してベルニュの猛追から逃げ切ったアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ サウジアラビアのディルイーヤで15日に行われた2018/19ABBフォーミュラE選手権開幕戦。決勝レースは、BMW i アンドレッティ・モータースポーツのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがポール・トゥ・ウインで制し、2014/15シーズンのアムリン・アグリで挙げた初勝利以来となる自身2勝目を挙げた。
初陣となったニッサン・e.ダムス勢は、セバスチャン・ブエミが6位、オリバー・ローランドが7位とデビュー戦でダブル入賞を果たした。
サウジアラビアの首都リヤド郊外に位置するディルイーヤで開催される2018/19フォーミュラE開幕戦。世界遺産にも選ばれる歴史的な街並みで、中東初の電動モータースポーツレースが行われた。
新シャシー“GEN2”の導入により、今シーズンからラップレースではなく45分+1周のレースに変更。エネルギーをどのように使用するかが勝負の分かれ目となる。また、アタックモードの使用制限がレース1時間前に発表され、ディルイーヤでは2分間2回の使用が可能となる。
好スタートを見せたのはポールポジションを獲得したダ・コスタ。3番手グリッドとなったセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)もホセ-マリア・ロペスを交わして2番手に浮上。
後方では、エドアルド・モルタラ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)が他車と接触しウォールにクラッシュ。早々にフルコースイエローとなる。
ダ・コスタ、ブエミ、ロぺス、ジャン-エリック・ベルニュ(テチーター)、ストフェル・バンドーン(HWAレースラボ)の順でレースは再開。6番手のアンドレ・ロッテラー(テチーター)は、4周目にバンドーンをオーバーテイク。さらに前を走るベルニュに迫る。
ベルニュもペースアップし、ロペスを交わし3番手に。9周目にはブエミをオーバーテイク。さらに勢いに乗って14周目にダ・コスタも交わしついにトップに浮上する。
ベルニュと共に順位を挙げたロッテラーもダ・コスタへと襲い掛かる。残り17分を切ったところでロッテラーがアタックモードに入り、ダ・コスタをオーバーテイクして2番手に。
ここでロッテラーに迫られたくないベルニュもアタックゾーンを通過し、ロッテラーの猛追に備える。しかし、トップ争いをするテチーターの2台が23周を終えたところでピットイン。テチーターには技術違反でドライブスルーペナルティが科せられていたようだ。
8番手までポジションをアップしていたフェリペ・マッサ(ベンチュリ・フォーミュラE)も同様にペナルティが科せられポジションダウン。
再びトップに立ったのはダ・コスタ。ロペス、ジェローム・ダンブロシオ(マヒンドラ)、ブエミと続き、ベルニュは5番手、ロッテラーは7番手に。
ロペスと激しいポジション争いを繰り広げていたダンブロシオは25周目にオーバーテイクし2番手に。ロペスはアタックモードに入ったブエミ、ベルニュも交わされてしまう。
後ろの2台が迫る中、ダンブロシオは2度目のアタックモードへ。この判断が終盤戦に大きく影響してしまう。
残り12分、ロペスが左リヤタイヤを接触させコース上にマシンをストップとなり、50km/h制限のフルコースイエローに。さらにマシンを撤去するためセーフティカーが導入される。
バッテリーにも余裕ができたことで、セーフティカーが離れる周で各車がアタックモードに進入。ダンブロシオをはじめアタックモードを使い切ったドライバーには厳しい終盤戦に。
残り3分+1周の勝負。ベルニュはアタックモードでダンブロジオをオーバーテイクし2番手に浮上。後ろではミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)、ブエミ、ロッテラーが激しいポジション争いを繰り広げる。
32周目、ロッテラーがブエミを交わし5番手を奪う。そして、45分が経過し残るはファイナルラップのみに。
ファンブーストを使って逃げるダ・コスタ。ベルニュは0.6秒差まで追い詰めたが届かず、ダ・コスタがシーズン2以来自身2勝目を初のポール・トゥ・ウインで飾った。
2位は昨シーズンの王者ベルニュ。3位にダンブロシオ。ニッサン勢の初戦は、ブエミが6位、ローランドも7位に入りダブル入賞となった。
シーズン5から参戦し、デビュー戦で初優勝を飾ったBMW。このままシーズンをけん引する存在となるだろうか? また、ドライブスルーペナルティでポジションを下げるも驚異的なレースペースを見せたテチーターのベルニュとロッテラー。昨シーズンに引き続きシーズン5でもチャンピオン争いの中心となりそうだ。