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恒例のファン交流イベントを開催した佐藤琢磨「インディに革命を起こしたエンジニアがチームに」と2019年に期待

2018年12月15日 20:41  AUTOSPORT web

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質問コーナーでは特大サイズのステアリングを持参したファンもいた
12月15日、インディカー・シリーズに参戦する佐藤琢磨によるオフシーズン恒例のスペシャルトークイベント『Takuma Club Meeting(TCM)』が都内で開催され、たくさんのファンが来場。琢磨とともに2018年シーズンを振り返り、このイベントならではの交流を楽しんだ。

 今季、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLLR)に移籍し、インディカーに参戦した琢磨。シーズン序盤は苦しい戦いが続くも、第16戦ポートランドでは2017年のインディ500以来となるインディカー通算3勝目を挙げ、ランキング12位でシーズンを終えた。

 イベントのスタートとともに姿を現した琢磨は、まず2017年に日本人初優勝の快挙を成し遂げたインディ500のレース、そして昨年のTCMで行われたインディ500優勝の再現パフォーマンスを映像で振り返る。当時の感動を共有した会場のファンから多くの拍手が起こり、2018年のTCMが始まった。

 オープニングトークに続いて始まったのは、2018年シーズンのインディカー全レースの映像を見ながら琢磨が解説するスペシャルトークショー。今季勝利を挙げたポートランドでは、レース前のミーティングで「2ストップ作戦を採りたい」と決断してチームに伝えていたと語る。

「序盤戦の苦戦を乗り越えての優勝は本当に最高でした」と明かされるポートランドでの勝利の話に、会場のファンは熱心に耳を傾けていた。


 続いてファンからの質問に答えるQ&Aコーナーでは、ステアリング変更に関する質問が飛び出した。琢磨が「今日は(ステアリングの)写真がないんだけど……」と答えようとすると、質問者が自作の“特大”ステアリングを差し出す。これには琢磨もびっくり。しかし、常にステアリングを握り続けている琢磨の目は細部まで見逃さず、「ここは古いね」と突っ込みを入れる一幕もあり、容赦ない指摘にどっと笑いが起こった。

 さらに2019年シーズンの契約についてまで話は及んだ。2019年シーズンも引き続き、RLLRで走ることになった琢磨。来季に向けては「2019年シーズンはこの(2018年後半の)勢いのまま続けていきます」といい流れで新たなシーズンを迎えられることを示唆した。

「実は来季、とんでもなくいいエンジニアが入っているんです。アラン・マクドナルドというイギリス人のエンジニアなのですが、これまでインディで革命を起こしてきた人なんです。彼が行くチーム、勝つかポールポジションを獲っているんですよ」

 マクドナルドは、2018年に琢磨のエンジニアを務めたエディ・ジョーンズといわば師弟関係のような間柄。マクドナルドがチーム加入と決まったときも、チームの雰囲気はウエルカムムードだったとか。2019年のチーム体制にも大きな期待が持てる状況であると笑顔で話していた。

 インディ500制覇という日本人として前人未到の偉業を成し遂げた琢磨が次に狙うのは当然、シリーズの頂点だ。「チャンピオン目指して頑張ります」ときっぱり宣言。琢磨を応援するファンからは、その背中を押すように温かい拍手が贈られた。

 握手会と並行して行われたミニトークショーのなかでは、レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップの室屋義秀、MotoGPライダーの中上貴晶によるビデオメッセージや、タクマ・キッズカート・チャレンジで琢磨に指南を受けた子供たちの登場など終始ファンを飽きさせない、盛りだくさんのプログラム。

 会場全員のファンと握手を交わし終えた琢磨は、「僕はここでたくさんパワーをもらうんです」と語ったあとに今年のF1日本GPでマクラーレン・ホンダMP4/6をドライブしたことに触れ、「鈴鹿のセナ足よかったです、とたくさん言ってもらえました。またやっちゃいます(笑)」とうれしそうに笑顔を浮かべた。握手会の前トークで(F1日本GPの)鈴鹿のデモランでセナ足を披露したことを明かしており、握手会では多くのファンがそのときの感動を琢磨に直接伝えたようだ。

「今日は本当にありがとうございました。来季も頑張っていきます。またこの場で会いましょう」とファンに向けて手を振り、締めくくった琢磨。2018年のTCMも和やかな雰囲気のなか、琢磨もファンも、それぞれに笑顔の絶えないイベントとなった。