トップへ

欅坂46、2期生9人はグループに何をもたらす? 「お見立て会」を見て感じたこと

2018年12月13日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 欅坂46(以下、漢字欅)とけやき坂46(以下、ひらがなけやき)の新メンバーが発表され、12月10日には日本武道館にて『欅坂46二期生/けやき坂46三期生「お見立て会」』が開催された。そこで今回は漢字欅にフォーカスを当て、実際に「お見立て会」を見て感じた漢字欅の新メンバーの印象からこれからのグループについて考察してみたい。


(関連:欅坂46&けやき坂46、新時代の幕開けを感じた『お見立て会』「欅坂46をアイドル界の頂点に!」


 欅坂の2期生として加入した9名は、井上梨名(いのうえりな・17歳・兵庫)、関有美子(せきゆみこ・20歳・福岡)、武元唯衣(たけもとゆい・16歳・滋賀)、田村保乃(たむらほの・20歳・大阪)、藤吉夏鈴(ふじよしかりん・17歳・大阪)、松田里奈(まつだりな・19歳・宮崎)、松平璃子(まつだいらりこ・20歳・東京)、森田ひかる(もりたひかる・17歳・福岡)、山崎天(やまさきてん・13歳・大阪)。そして、けやき坂3期生は、上村ひなの(かみむらひなの・14歳・東京)の1名となっている。


 まず新メンバーの発表があったときに気になった点は、20歳のメンバーが3人いるということ。今回の合同オーディションでの他グループの新メンバーと比較すると、年齢層がやや高めだ。漢字欅は今年、3人のメンバーが卒業。そのため、まずパフォーマンスやメディアに露出するための即戦力が必要だったと考えられる。また9人中6人が高校3年生以上なのは、全員選抜を謳っているグループで穴を開けないためにも、進路が決まっている人を多めに選んだのではないだろうか。長濱ねるや米谷奈々未らこれまでの漢字欅の様子から見ても、学業とアイドルの両立の難しさは周知の事実。さらに学業だけでなく、思春期の不安定さも活動に影響してくるため、メンタル面から見ても安定したメンバーを迎えたかったのではと推測できる。


 とは言え、坂道系で最年少となる中学1年生・山崎もいる。SHOWROOM審査のときに、当時12歳の山崎が「いつか平手友梨奈さんとWセンターをやりたい」と発言し話題に。ファンからは漢字欅の新メンバーとして待望する声も上がっていた。おそらく年齢的に学業の関係もあって今後できない仕事が出てくると思われるが、先述したように即戦力が多い2期生だからこそ、じっくりと育っていける環境にもなっているはずだ。そんな山崎は、「お見立て会」で一番のインパクトを残し、アイドルとしてのポテンシャルの高さを感じさせた。「山崎天の天は頂点のてん。欅坂46をアイドル界の頂点に導きます!」(引用:欅坂46&けやき坂46、新時代の幕開けを感じた『お見立て会』「欅坂46をアイドル界の頂点に!」)と高らかに宣言し、最後の締めの言葉でも「先輩たちが頑張ってきたから、私たちはこの武道館という所に立てているので、先輩たちにその恩を返せるように、努力していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」と、最年少とは思えないしっかりとした言葉を残している。まだ中学1年生だからこその怖いもの知らずな部分もあるかもしれないが、舞台に立っても物怖じしない度胸は、今年のAKB総選挙で1位となった松井珠理奈クラス。これから心も見た目も大きく変化していく時期だからこそ、このまま真っ直ぐに育って欲しい、と切に願う。漢字欅の未来を担う逸材だということは間違いない。


 ライブ中のMCや締めの言葉のかけ声を担当し、2期生のキャプテン的ポジションを担っていたのが、元銀行員の松田。彼女もまた物怖じしないタイプで、武道館の大舞台でも「緊張? していません。余裕だぜ!」と笑顔を見せるほど。その言葉だけでなく、実際のパフォーマンスもしっかりとこなし、一番の即戦力と感じさせる頼もしい存在だ。パフォーマンスの面から言えば、「ダンスが得意」と自己PRするほどの自信を持つ武元の表現力は群を抜いている。またトークや握手会で常にニコニコの笑顔でファンの心を掴んでいたのは、田村。努力したことは、「見られ方の研究」と言うほど、どんなときでも見られることを意識した立ち振る舞いで観客を魅了した。まだ2期生新メンバー全員を発表する前に、『うたコン』(NHK総合)や『2018 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)で早くも漢字欅の一員として「アンビバレント」のパフォーマンスに加わっていたのが、この3人。納得の選抜だったということが「お見立て会」でわかった。


 そして、将来のエース候補を占う「サイレントマジョリティー」でセンターに抜擢されたのが藤吉。自己PRで「食べるの大好き」と替え歌を披露して面白い一面も見せていたが、人生で一番嬉しかったことは「人間に生まれたこと」、そして笑顔が苦手というクールな佇まいは他の2期生とは一線を画す。藤吉がいなかったら、2期生は乃木坂46との差別化が難しかったのではないだろうか。大槻ケンヂが漢字欅のことを古屋兎丸の漫画『ライチ☆光クラブ』のような世界観とたとえていたが、それは平手を中心にグループ全体に漂うアングラ感を大衆的に昇格させたことを指していると考えられる。平手とはまた違うが、実際のパフォーマンスを見て、藤吉は漢字欅らしさを体現できる一人だと感じた。


 2期生はとてもバランスが取れていて、メンバーで一つのグループが成立していると言っても過言ではない。それゆえに、1期生に加わると個性がどうなっていくのか、正直「お見立て会」を見てグループの将来図がわからなくなった部分もある。12月10日放送の『未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)で、2期生が加わった漢字欅についてプロデューサーの秋元康は「全くわからない。そこがやっぱり欅坂の面白いところだと思うんですよね。先が読めないじゃないですか。だから、一瞬一瞬が欅坂の今なんですよね。それを目撃し続けるしかない」とコメントしていた。新メンバーが噛み合うも合わないも、それこそが漢字欅の個性であり、そのガチ感を今まで以上に楽しむのが正しい漢字欅の見方なのかも知れない。少なくとも誕生して以来、長濱の例外を除き、初期メンバーだけで活動してきた漢字欅が、2期生という形で初めて新メンバーを迎え入れたのは、それだけでも革命であり、グループとしての大きな一歩に違いない。今と将来を見据えた補強は、確実に面白い方へと向かうだろう。(文=本 手)
※山崎天の「崎」は「たつさき」が正式表記。