スーパーTC2000(STC2000)で2010年からワークスプログラムによる参戦を続けてきたチーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナが、2018年シーズン限りで撤退することを表明。そのオペレーションを担っていたDTAレーシングは、代わってシリーズにワークス参戦を開始するフィアットとジョイントし、新型マシン『ティーポ』を投入するとアナウンスした。
ホセ-マリア・ロペスやエステバン・グエリエリなどグローバルに活躍する人材を輩出するアルゼンチン最大のツーリングカー選手権、STC2000で長年ワークスチームとして活動してきたプジョー・スポールは、2014-15年にはネストール・ジロラミを擁してシリーズ連覇を達成するなど、トップチームとして活躍を続けてきた。
2018年は、WTCC世界ツーリングカー選手権の消滅に合わせて母国シーンに復帰したジロラミを迎え、4台体制でのエントリーを敷いてきた。しかしプジョー・スポールはこの2018年限りで同選手権からの撤退を決意。2年連続でタイトルを奪われたルノーへのリベンジを果たすことなく、シリーズを去ることとなった。
そのプジョーと入れ替わるようにシリーズへのコミットを表明したFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)ブランドは、これまでプジョーの前線部隊を担ったDTAレーシングとジョイントし、新たにフィアットの主力セダン『ティーポ』を投入することを決定。
ドライバーにも、これまでプジョーで戦った同チームに所属するマリアーノ・ウェルナー、ファビアン・シャナンツォーニ、マティアス-ムニョス・マルケージの3名を起用すると発表した。
ウリセス・アルメリーニ率いるDTAレーシングは、ブエノスアイレス州サン・ニコラスに置かれた本拠地ファクトリーですでにフィアットDTAレーシングとしての活動をスタート。2019年3月17日のシーズン開幕戦に向け、ニューマシンの製作作業を開始している。
「DTAレーシングにとって世界的ブランドのSTC2000ワークス復帰を担えるのは最高の名誉だ。しかも2019年はフィアットがアルゼンチン上陸を果たして100周年の記念すべきシーズンにもなる」と語る、チーム代表のアルメリーニ。
「モータースポーツでも世界的に有名なブランドの代表として戦えることを誇りに思うし、その責任を果たしたい。素晴らしい関係を築いているホルヘ・リズートにも感謝を捧げたい」
そのコメントにも登場した、FCAスポーツマネージャーを務めるリズートも「2019年にアルゼンチン最高峰シリーズへの復帰が発表できて興奮している」と期待を語った。
「そう、我々フィアット・ブランドにとって2019年はアルゼンチン上陸100周年という記念すべき1年になる。そのシーズンにSTC2000のコンペティションに復帰し、ふさわしいリザルトで祝福を飾ることができたら最高だ。DTAレーシングと代表のウリセス・アルメリーニ、そして素晴らしいドライバーたちの能力を信じているし、きっと成し遂げてくれるはずだ」
2019年はホンダ・シビックの参戦に加え、新規ニューカマーとなる『フィアット・ティーポSTC2000』は、すでにホワイトボディが到着したファクトリーでワンメイクパイプフレームへの架装とファブリケーションが進められており、プロトタイプ初号機は2019年1月20日の完成を予定。その後、空力ホモロゲーションを経て3台のレースカーを量産し、テストが行われる計画となっている。
また、2018年に同チームに所属した4人目のドライバー、ジロラミの去就は発表されていないが、本人の希望ではWTCR世界ツーリングカー・カップへの参戦を目指していることから、この母国シリーズで新型フィアットのステアリングを握る可能性は低いとみられている。