FIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、スペインの首都マドリードでグランプリ・コミッションが協議して決定した競技規則、技術規則、懲戒規則を発表した。
今回発表された競技規則、技術規則、懲戒規則は即時有効となる。FIMが発表した内容は以下の通りだ。
【競技規則(即時施行)】
■レース順位
以前は最終的な順位を得るためには、ライダーはマシンとともにフィニッシュラインを通過しなければいけなかった。しかし、過去に転倒などによりライダーとマシンが別々にフィニッシュラインを通過する状況があったため、今後フィニッシュタイムは、フィニッシュラインを最後に通過したライダー、もしくはマシンの最初の部分によって決定される。
■代替ライダー
Moto3チーム、またはMoto2チームは、FIM CEVなど他の選手権に参戦するために契約したライダーを負傷者の代役として起用する場合がある。今後、代役に指名されたライダーは、参戦する他の選手権での参戦義務を履行することが許可され、グランプリの14日以内に同じサーキットでイベントが開催された場合でも、テスト日数としてカウントされない。
■レース中断後のリスタート時のライダー出走許可
レースが一時中断された場合、どのライダーが再開後のレースに参加するのか、明確な基準を作るための規制が承認された。また、ライダーはマシンを再始動させるため、またはトラック、トラックサイド、サービスロードへ移動させるために、マーシャルの助けを借りることも認められた。
この規則におけるライダーの“競技続行中”は、当該ライダーがトラック上を走行していること、マシンを修復/リスタートさせようとしていること、トラックに復帰またはピットレーンへ戻ろうといしている場合を指す。
ライダーが競技を続行しているかの判断はFIM MotoGPスチュワードに判断が一任されており、決定に控訴することはできない。
■黄旗区間での追い抜き
黄旗区間でポジション違反や他の侵害に関連した情報は、ダッシュボードディスプレイとフィニッシュラインを介して最大で3周の間に伝達される(以前は最大5周)。
■マシン始動
安全上の理由から、ピットボックス内でレーシングバイクのエンジンを始動させることはできない。エンジンはピットレーン上で始動させなければいけない。
■サーキットラップレコード&レースラップレコード
新たに以下のサーキットレコードが承認された。
オールタイムラップレコード
過去の全グランプリセッションも含めたなかで、最速のラップタイム。
ベストレースラップ
過去のレース中に記録されたなかで最速のラップタイム。
■コンセッションポイント(MotoGPクラス)
マニュファクチャラーが『コンセッション』の優遇措置を失うのに充分なコンセッションポイントを獲得すると、テストライダーを使ってグランプリサーキットでテストを行う権利がなくなる。
マニュファクチャラーは、翌シーズンに向けたテストに向けて、既存のグランプリサーキットのなかから、テストに使用する3コースを事前に指定する必要がある。
継続的に参戦していないマニュファクチャラーがコンセッションポイントを獲得した場合、そのポイントは数年後に再参戦した場合も有効だったが、今後はコンセッションポイントを獲得した日から2年後に失効することになった。
■グリッド上でのジェネレータ使用
現行の規則では最大出力2キロワットの手持ち発電機の使用に制限されているが、現在は発電機が手持ちではなく、ツールボックス、スペアホイールなど、他の機器を備えたサービスカートに組み込まれている。
そのため現行の規則は取り消され、テクニカルディレクターはチームがグリッド上に持ち込む発電機/サービスカートの規則適合の成否を判断する責任を負う。
【技術規則(即時施行)】
■Moto2クラス技術規則
エンジンサプライヤーがホンダからトライアンフに変更されるため、このクラスの技術規則が修正された。規則の詳細は、FIMのオンラインで近日中に公表される。
■タイヤ・アロケーション
セーフティ委員会とオフィシャルタイヤサプライヤーが協議した結果、タイヤの割り当てに関して次のような変更が加わえられる。
MotoGPクラス
レインタイヤの割り当ては、合計11本からフロントタイヤ6本、リヤタイヤ7本の合計13本に増加。
Moto3クラス&Moto2クラス
上記2クラスはレインタイヤに制限はない。ただし、オフィシャルタイヤサプライヤーは、ライダーひとりにつき最低4セットのレインタイヤを準備しなければいけない。
【懲戒規則(即時施行)】
■控訴の対象とならない罰則
懲戒規定には、控訴の対象とならない罰則のリストが含まれている。通常、罰則はレース中に与えられる。しかし、FIMスチュワードはレースの残時間が不充分である場合などは、標準的なペナルティ(ポジションの変更、ライドスルー・ペナルティなど)の代わりに、タイムペナルティを課すことがある。
この際、控訴不能なペナルティの代わりにタイムペナルティが課された場合、そのタイムペナルティに控訴することはできなくなる。