2018年12月10日 10:52 弁護士ドットコム
年末が近づくと、会社からもらう「源泉徴収票」。副業をしている場合は、本業の勤め先で「副業先から源泉徴収票をもらってきてください」といわれることもある。
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源泉徴収票という言葉自体は耳にすることが多い一方で、ネット上では「もらったけど、見方が分からない」という声が少なくない。なかには、「学校で見方を教えてほしかった」という人も。身近なのに意外と知らない源泉徴収票の見方を、高橋創税理士の協力を得て、この機会に確認したい。
源泉徴収票の支払金額をみれば、1年間に支払われた給料(総支給額)がわかる。支払金額はボーナスなども含めた額面の数字になっている。年収がいくらかを聞かれた場合、一般的にはこの支払金額を答えることになる。
一方、手取りは、支払金額から税金や社会保険料などを引いた金額のことをいう。つまり、実際に自分が受け取ったお金のことだ。「手取りでいくらもらっているの?」と聞かれた場合は、「支払金額−源泉徴収税額−社会保険料等の金額」を計算すればよい。
では、源泉徴収税額とはなにか。支払金額の隣には、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額が書いてある。以下にみていく。
会社に行くためのスーツやバッグ、スキルアップのための本など、仕事で必要なものを買うためにお金を使うことがある。逆に、1円も使わない人もいるだろう。
給与所得の計算では実際にかかった経費を反映する方法がないため、「この人が仕事のために使ったお金(必要経費)は大体この程度だ」という概算の金額が給与所得控除として、支払金額から引かれ、給与所得控除後の金額が出される。給与所得控除の額は適当に決めていいわけではなく、年収(支払金額)に応じて決まる。
所得控除の額の合計額には、「生命保険料控除」などの控除を合わせた額が記される。ほかに、すべての納税者に38万円の所得控除を認める「基礎控除」や「医療費控除」などもある。基礎控除を除いて、適用される控除や金額は人それぞれだ。
税金の対象(課税対象)になるのは、給与所得控除後の金額から所得控除の額の合計額を引いた金額。つまり、控除額が多ければ、税金の対象になる金額を少なくすることができる。
控除を受けるための要件はさまざま。国税庁のホームページを確認したり経理担当者に聞いたりして疑問点はなるべく残さないようにしておきたい。
最後に、源泉徴収税額は1年間でおさめる所得税の金額のこと。毎月の給与で天引きされてきた所得税の額が、正しく計算した所得税額を上回っていれば、差額が返ってくる。逆に、下回る場合は差額を払わなければいけない。その作業を年末調整と呼び、調整後の金額が「源泉徴収税額」に記載される。
今回記した内容は、源泉徴収票を知るうえですべての要素を網羅したわけではない。ただ、そうであっても「漢字ばっかりで小難しい」と感じた人もいるだろう。源泉徴収票の見方をある程度わかっておくと、何かいいことがあるのかーー。
高橋創税理士は「源泉徴収票はサラリーマンの通知表のようなもの。内容がわかるようになったとしても直ちに得することはありませんが、ごく稀に間違えていることもありますので、自分の通知表の内容くらいは確認できるようになっても良いのではないでしょうか」と話している。
ちなみに、見落とさない方がいい項目はあるのか。高橋税理士は「『源泉徴収税額』欄の金額が1年間の所得税の合計額になります。自分がいくら納税をしているのかくらいは知っておいた方がいいでしょう。そうすると、税金の使われ方にもっと関心を持てそうです」と話す。
【取材協力税理士】
高橋 創 (たかはし・はじめ)税理士
資格予備校講師(所得税法)、会計事務所勤務を経て、2007年に独立。
事務所名 : 高橋創税理士事務所
事務所URL: https://takahashi-hajime.jp/
(弁護士ドットコムニュース)