2018年12月09日 10:52 弁護士ドットコム
小学2年生の長女(7)と2歳11カ月の次女の子育て真っ最中の高木良平弁護士(44)。ツイッターで育児に励む日々をつづっています。先日は長女から「パパ、歴代のプリキュア全員言ってみて」と言われ、映画オンリーのメンバーも含めて全員答えられたそうです。
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長女(7歳)の付き添いで美容院に来ています。家にいるときとは違って、ちょっと緊張して、ちょっと恥ずかしそうで、ちょっと気取った表情の娘が可愛くて仕方ありません(*´∀`)
昨日お昼寝なしで17時に寝てしまった次女(2歳)が午前2時に覚醒。朝まで子守りコース確定です0(:3 )~ _(:3」∠)_
しかし、厚生労働省の調査によれば、育児休業取得者の割合は女性が83.2%なのに対し、男性は 5.14%(平成 29 年度雇用均等基本調査)。「イクメン」という言葉は知られるようになっても、現実はそう追いついていません。
自宅から5分のところにある事務所には、娘たちがいつでも遊べるように、お絵かきセットやアンパンマングッズなどがあふれています。「育児の片手間に弁護士業をしているという感覚」と話す高木弁護士に密着しながら、育児と仕事の両立について話を聞きました。
ーー育児分担はどのようにしていますか
午前中に期日や法律相談等が入っていない日の朝は、いつも公園に次女を連れて行きます。同じところばかり行くと飽きてしまうので、最近は自転車を走らせて、いろんな公園に行っています。
公園で遊んだあとは自宅でお昼を食べさせ、昼寝させます。それから自宅から5分ほどのところにある事務所に出勤します。昼以降は妻が自宅で見ていて、17時くらいには帰ります。土日も動かせない予定がない限り、育児をしていますね。
「妻は専業主婦」というと大体驚かれます。父親が育児していると、みなさん「よほど奥様が働かれているんですね」と理由を探す。本来父親であれば、育児するのが当たり前。私が父親だからやっているんです。
世間には子どもについての一義的責任は母親にあるといった雰囲気がありますよね。私の存在で、育児や男女への固定観念が変わるのであれば面白いと思います。
ーー1日のほとんどを子どもと過ごしているんですね。一体いつ仕事をしているんですか
今は、実質、業務時間は4時間ほどです。自宅に帰ってからは寝かしつけるまで子守しかしていません。家ではとても仕事はできないですね。どうしても間に合わない時は、寝かしつけてから夜中に事務所に行って起案することもあります。
仕事と育児、2つ世界を持っているからこそ、気持ちを切り替えることができます。子守りをしているときに法律構成が浮かぶこともありますよ。寝かしつけが深夜2時くらいまでかかった後、朝から期日があるのに逆に目が冴えてしまい、仕事してしまうこともあります(苦笑)。
独立する前よりも、圧倒的に能率は上がりました。これは経験年数や受任する事件の種類も関係しているとは思いますが、業務時間は3分の1で売り上げは3倍ほどになりました。育児中心の生活なので、当然儲かってはいませんが、つつましく暮らせる程度には稼げています。
ーー夫の育児参加度合いについて、モヤモヤしている妻の声は多く聞かれます
もっと育児に参加したいけど、時間を取らせてもらえない労働環境の男性がほとんどではないでしょうか。幼稚園や小学校で会うパパを見ていると、そう思います。あまりに疲弊しすぎていて、時間的にできない。ブラック企業が男性の労働力を搾取していることで、配偶者である妻や子どもにも影響が生じていると感じます。
自由業であれば、育児のために時間を割きやすいと思ったのも弁護士になった一つの理由です。自分は恵まれた環境にいるんだと思っています。
ーー長女が小さい頃も、今と同じような日々を過ごしていたのですか
生まれた時は渋谷にある法律事務所で勤務していたので、流石に今のような生活はできませんでした。ですが、育児にとても理解のある事務所で、事務所にベビーベッドがあって、毎日のように先輩弁護士の子どもが事務所にいて、誰かが子守をしているという感じでした。
子どもをベビーカーで事務所に連れて行き、少年事件の記録を閲覧する際にベビーカーで家裁に入ったこともあります。姉弁(先輩の女性弁護士)は赤ちゃん抱っこしたまま接見していたので、それに比べれば別にという感じですね(笑)。
当時は仕事自体の重さと初めての育児が重なり、いっぱいいっぱいになってしまいました。育児は想像していたよりもずっと大変でした。夜は眠れないし、息つく暇もない。私は睡眠が浅い方で、夜に子どもが泣くと妻よりも先に起きてしまう。これは経験しないとわからない。
勤務自体は10~17時とホワイトだったのですが、育児中も依頼者からの電話が24時間かかってくる。それで育児ノイローゼ気味になってしまい、仕事をしばらく休ませてもらいました。普通の事務所だったら許されなかったと思いますが、サポートしてくれて本当にありがたかったですね。
ーー2015年8月に独立し、事務所を開設。今は仕事と育児のバランスを、どう考えていますか
娘が可愛いので、まだ一緒にいてくれるうちは子どもと過ごすことを優先しようと思っています。時間は有限なので、仕事よりも育児を優先しています。大きな仕事を成し遂げようという野望みたいなのは一旦捨てました。
子どもが生まれてから、仕事の量を絞りました。相談を受けるのは友人、知人やその紹介が大半ですね。
自分の子どもが生まれるだけでも奇跡的にありがたいこと。我が子の成長に立ち会えないなんて、そんなもったいない話はないですよ。育児の「ゴールデンタイム」を逃している人が、たくさんいるんだろうなと思います。
ーー何よりも子どもを最優先して、よかったことはありますか
成長の過程で、感動する場面を見逃さないでいられることですね。上の子も下の子も初めて立ったり歩いたり、大事な瞬間を見ているのはだいたい私です。
今なんかは、次女が語彙爆発の時期なんです。「そんなことしゃべれるの?」と驚いたり、公園に行っても「あそこ一人で登れるの?」と成長に感動したり、毎日可愛くて仕方がありません。
もちろん可愛いときばかりじゃないですよ。夜寝てくれない時は「なんで寝ないかな」と思いますが、それでもやっぱり今だけですからね。いつか一緒にお風呂も入ってくれなくなりますから…。
ーー育児参加しない夫に悩む妻は、どうしたらいいですか
離婚事件を扱っていると「今すぐ夫から逃げた方がいい」というケースにも出くわしますが、大多数の夫は「育児に参加したい」と思っていると信じたいです。
育児参加しない(できない)理由次第なので、ケースバイケースとしか言いようがないのですが、育児する気があっても、失敗して妻から怒られ続けることで、モチベーションが削られてきた男性も少なからずいるんじゃないかなとも思います。「文句言われたから」と放り出すなんて、父親として幼いとは思いますが…。
もし、そういう夫でも見限らずに一緒に育児をしていこうと思うのであれば、家事育児に参加したことを褒めて、おだて上げていくのも一つの方法だと思います。
【高木良平弁護士プロフィール】
1974年、神奈川県生まれ。2004年に司法試験合格し、2006年桜丘法律事務所に入所。2015年8月1日に独立し「MJ法律事務所」(東京都墨田区)を開設。ボクシングのプロライセンスを取得したこともある(現在は失効)。
(弁護士ドットコムニュース)