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清野菜名、橋本環奈……『今日から俺は!!』に見るアクション女優たちの台頭

2018年12月08日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『今日から俺は!!』(日本テレビ系)にてWヒロインを務め、不良ドラマに華を添えている清野菜名と橋本環奈。もちろん彼女らの持ち味は、可憐な女子高生姿だけでなく、見事な身のこなしにこそある。地上波放送で派手な立ち回りを演じる彼女らが先駆けとなって、“アクション女優”の台頭を期待せずにはいられない。


 スカートをひるがえし、軽やかな身のこなしで、舞うように拳と足技を繰り出す清野菜名。毎話彼女の立ち回りを見ることを楽しみにしている方も多いだろう。『今日から俺は!!』はコメディ作品なだけあって、“笑い”が重要だが、乱闘シーンでは、やはり見ごたえのある“アクション”が重要だ。


【写真】三橋と対峙する理子


 これまでに清野は、『TOKYO TRIBE』(2014)、『虎影』(2015)、『東京無国籍少女』(2015)などでアクションを、ひいてはその身体能力の高さを披露してきたが、このところ、なかなかそういった作品に出演することはなかった。この2018年は、連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)での爽やかな印象も強かっただけに、今作で演じる赤坂里子が男たちを軽々と投げ飛ばす姿には、驚きと同時に爽快感をも得ている方は多いだろう。“アクション女優”という言葉がしっくりハマる、そんな好演なのである。実際、彼女はこの作品で、ハードなアクションをこなす俳優陣きっての使い手だ。そろそろ清野主演で、本格アクション映画が観たいものである。


 そして橋本環奈のアクションといえば、『銀魂』シリーズ(2017・2018)でのヒロイン・神楽の姿を思い浮かべる方も多いだろう。シリーズともに、手練の俳優陣を相手にパワフルなアクションを披露しているのだ。今作でも、清野の軽やかなアクションとはまた異なる、一撃一撃が大きな、豪快なファイトを毎回繰り広げている。そんな豪快さがあるからこそ、恋の相手・伊藤真司を演じる伊藤健太郎との“バカップル”な掛け合いも、愉快なギャップとして作用しているのだろう。橋本は2019年に期待の超大作、『キングダム』への出演も発表されており、非常に楽しみである。


 思い返してみれば今年は、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)で本田翼が格闘技に精通した刑事役に扮していた。過酷な訓練を経て会得したという技の数々は、彼女の華奢な身体に映えて、実に美しいものであった。また、本田つながりで言えば、彼女が昨年出演した『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)で主演の綾瀬はるかは、元特殊工作員で現在は平凡な主婦という特異な役どころに挑んでいた。その肩書きに相応しい“肉体派”な一面と、おっとりした“奥さん”の印象とのギャップがまた強味となっていた。


 そして、身体能力の高さで言うならば、今年は『累 -かさね-』『チア☆ダン』(TBS系)の土屋太鳳、『響-HIBIKI-』の平手友梨奈らにも魅了された方は多いはずだ。自身の身体をうまく扱えるということは、“自身の身体の仕組みに自覚的である”ということでもあるだろう。たとえ「アクション作品」ではない「非・アクション作品」にも、登場人物が動くという意味での「アクション」が必ずある。自身の身体に自覚的である者だからこそできる、「非・アクション作品」での、しなやかな身のこなしというのもあるのではないだろうか。


 今後は、グラビアアイドルの小倉優香が『レッド・ブレイド』に、アイドルグループ・SUPER☆GiRLSの浅川梨奈が『血まみれスケバンチェーンソーRED』に出演したりと、若い女性たちによるB級映画でのアクション挑戦も期待だ。これまでにもこの手のB級アクション作品はコンスタントに作られてきたが、これらの作品を足がかりとして、役者活動の幅を拡げている者も多い。また、先に触れた『キングダム』でも、すでに出演が発表されている橋本や長澤まさみだけでなく、彼女らをはじめとした、女優たちの豪快に立ち回る姿が見られるのではないだろうか。


(折田侑駿)