映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』が本日12月7日から東京・日比谷のTOHOシネマズ シャンテほかで公開されている。
同作は、現代のインドで安全かつ安価な生理用品の普及に人生を捧げた男の実話をもとにした物語。インドの小さな村で新婚生活を送る主人公ラクシュミが、貧しくて生理用品を買えずに不衛生な布で処理している最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつき、様々な困難に直面しながらもやがて低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明することに成功する、というあらすじだ。
劇中では、村中の人々から奇異な目で見られ、ついには村を離れるまでの事態に陥りながらも諦めずに奮闘するラクシュミの姿や、自身で発明した機械を使って農村の女性たちに働く機会をも与えようとする様などが描かれる。クライマックスの国連演説のシーンは見どころの1つ。
主人公ラクシュミを演じるのはアクシャイ・クマール。彼の妻ガヤトリ役にラーディカー・アープテー、彼を助けてナプキンの普及に尽力する都会の女性パリー役に『ミルカ』などのソーナム・カプールがキャスティングされている。監督は『マダム・イン・ニューヨーク』の監督を務めたガウリ・シンデーの夫R・バールキ。
映画のモデルとなった「パッドマン」ことアルナーチャラム・ムルガナンダムは、1962年生まれ、南インド出身の56歳。妻と結婚して初めて女性の生理時の実態を知り、ナプキンの手作りに取り組み始めた。インド社会では未だタブーである「生理」に触れた彼の行動は様々な波紋を巻き起こしたという。
ムルガナンダは商用ナプキンの3分の1もの低コストで衛生的なパッドを製造できる機械を発明しただけにとどまらず、女性たち自らがその機械を使ってナプキンを女性たちに届けるシステムを開発。発明した機械はインドの29州のうち23州に設置されており、さらに106か国に拡大する予定だ。その功績から、2014年にはアメリカ『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、インド政府からは2016年に褒章パドマシュリを授与されている。
予告編にも登場する演説のシーンで主人公は「強い男、国を強くしない。女性が強い。母が強い。だから世界は強くなる」と訴えかける。未だタブー視されがちな生理の問題を正面から扱うだけでなく、女性をエンパワーするメッセージにも溢れた本作。インドでは初登場1位のヒットを記録したそうだが、日本でも男女問わず、広く見られてほしい1作だ。