2019年シーズンからウイリアムズのドライバーとなるロバート・クビカの父親のアルトゥール・クビカは、息子が乗り越えなければならなかった厳しい試練を考えると、彼のF1グリッドへの復帰は“奇跡”であると考えている。
クビカのグランプリレースへの復帰については報道が続いていたが、ウイリアムズが来シーズンに33歳の彼をチームのラインアップに加えると発表し、確定事項となった。
8年前のラリーでの恐ろしい事故で右腕を失いかけて以来、クビカにとってグリッドに戻ることは肉体的にも精神的にも大きな戦いであり、長く苦痛に満ちた道だった。
「もし奇跡が起きるとしたら、そう、これこそが奇跡だよ」とアルトゥール・クビカはポーランドの放送局TVN24に語った。
「彼にとっては苦しい戦いだった。足の怪我は6カ月後に回復したが、また怪我を負ってしまったことを覚えている。そのようなことがあると、心理的には打ち砕かれてしまうものだ」
クビカの悲惨な事故の後、すぐに治療にあたった医療チームを率いていた外科医のマリオ・イゴール・ロッセロ教授は、クビカを取りまく医学的状況は不安定なものであったと振り返っている。
「彼を生かしておくための戦いを続けなければならなかった。彼の手を救うことができたのは、副次的な成功だった」とロッセロ教授は語った。
クビカのF1への復帰は、この競技の歴史において最も偉大なカムバックとなるかもしれない。2008年にカナダGPを制したクビカは、希望を失いかけた時期もあったことを認めている。
「正確に何回の手術を僕が受けたか、誰にも分からないだろう」とクビカは語った。
「F1のレース数よりも多いことは確かだ。そして多くの手術が不成功に終わり、僕は半年ほど前の状態に引き戻されたりしていた」
来年3月のメルボルンでスタートシグナルが消えるところを、喜びに満ちたアルトゥール・クビカは見ることになるだろう。
「今日、彼がいるべき場所にいることを嬉しく思っている。彼の父親であることを誇りに思うよ」