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初主演映画『ニート・ニート・ニート』で見せた躍進 安井謙太郎は“邪道”もサラリとこなす演技派に

2018年12月07日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 チャラくて、厄介。現実にいたら、関わりたくないタイプ。そんなキャラクターを演じたらピカイチのジャニーズJr.がいる。安井謙太郎だ。そんな安井が、“チャラくて、厄介なヤツ”を存分に、生き生きと演じた初主演映画『ニート・ニート・ニート』が、11月23日より公開されている。


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 『ニート・ニート・ニート』は安井演じるレンチ、タカシ(山本涼介)、キノブー(森田美勇人)3人のニートと、謎の少女・月子(灯敦生)の4人が織りなす青春ロードムービー。ヤクザから追われているレンチは、高校の同級生である辞表を出したばかりのタカシと、いい大学に進学しながらも引きこもりになってしまったキノブーを巻き込み、北海道へ旅に出る。途中、出会い系サイトで知り合った地味な少女・月子も合流。どこまでも追いかけてくるヤクザたちを撒きながら、月子の指示通りに北海道中を駆け巡っていく。途中、それぞれの事情が少しずつ明らかになったり、汗水流しながら働くことになったり、頑なに心を閉ざしていた月子との交流が生まれたり……。はじめはレンチが強引にスタートさせた旅だが、全員が少しずつ成長を遂げていく様子が見どころである。


 安井が演じたレンチは、トラブルメーカーであり、ムードメーカーでもある青年。映画内ではっきりと言及されていないが、おそらく高校卒業後はフラフラしており、交友関係もあまり良いとは言えなさそうだ。しかも、ヤクザから追われているというどうしようもなさ。普通なら、改心するか己の現状に失望するかしそうだが、レンチにとっては屁の突っ張りにもならない。おバカでクズな発言を平気で口にし、常に楽観的で笑顔を絶やさないのである。それにしても、レンチというキャラクターは真性のクズである。レンチのセリフに気分を害する人がいても、全くおかしくない。しかも悪気なくニコニコと心底楽しそうに話すから腹が立つ。しかし、裏表が一切ないからこそどこか憎めず、いつの間にか人々の中心になっているのかもしれない。そして、そんなチャランポランな役をサラリとこなす安井がすごい。


 安井はジャニーズJr.の中でも、芸歴が長い人物だ。これまでも度々テレビやドラマに出演してきた。彼が演じた役を振り返ってみると、根暗・真面目な役もあるものの、そのほとんどが「チャラい」「イキっている」「嫌なヤツ」という役。例えば、Sexy Zone・中島健人主演の『BAD BOYS J』(日本テレビ系)。安井は、A.B.C-Z・橋本良亮演じるヒロが率いる不良グループ「ナイツ」の幹部役として出演。敏腕幹部ではあるのだが、ヒロの気を引こうと無茶をしたり、他の幹部と喧嘩をしたり、“腰巾着感”が否めない。『SHARK~2nd Season~』(日本テレビ系)では、主演のジャニーズWEST・重岡大毅演じる朔を裏切り、敵対するバンドに加入するというクズっぷりを発揮。いずれの役も板についていた。ジャニーズファンの知人曰く、「役がクズすぎて、安井は何も悪くないのに安井が嫌いになりそう」だそうだ。そう言わしめる安井の演技力には、脱帽だ。


 とにかく役のイメージが強い安井だが、実は普段は頭の回転が早いデキる男だ。デキるジャニーズJr.の別称・“できジュ”という言葉は、安井によって生まれたと言っても過言ではないだろう。普段のキャラと別のキャラをドラマや映画で演じ続けることができるのも、安井が“できジュ”である所以かもしれない。昨今、俳優の手塚とおるや木下ほうかなど、癖のある俳優が注目されている。ジャニーズメンバーが演じる王道な役ではなく、安井だからこそ演じられる役はこの先も増え続けていくだろう。先日、2019年3月末日をもって安井がジャニーズ事務所を退所することが発表されたが、彼なら息の長い、貴重な俳優としてさらに躍進することは間違いない。 


(文=高橋梓)