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Roseliaが示す、“妥協を許さない”バンドの姿勢 新メンバー迎えた品川ステラボール公演

2018年12月07日 00:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Roseliaが11月7日、東京・品川ステラボールにて『Roselia Live「Vier」』を開催した。


参考:BanG Dream!発ユニット Roselia、『R』は“大衆性”満たす作品に 収録曲の聴きどころを分析


 Roseliaは、次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』より誕生した5人組声優バンドユニット。この日のステージにはまず、湊友希那役の相羽あいな(Vo)、氷川紗夜役の工藤晴香(Gt)、今井リサ役の中島由貴(Ba)、宇田川あこ役の櫻川めぐ(Dr)の“4名”が登場した。


 Roseliaからは今年5月、今井リサ役を務めていた遠藤ゆりか(Ba)が惜しくも卒業。彼女の後を継ぐべく新たに中島が加入したものの、9月に開催された『Roselia Fan Meeting 2018』をもって、白金燐子役の明坂聡美(Key)も同じくユニットを離れた。今回のイベントは、メンバーが当初の予定を変更して、4名編成でのミニライブとして開催。キーボードが不在の状況下でも、“バンドの活動を止めてはいけない”という強い意志があったのだろう。ドイツ語で“4”を意味するライブタイトルも、同様の理由から掲げられたのだと思われる。


 ライブは、デビューシングル表題曲「BLACK SHOUT」でスタート。メンバー4名の地力を提示する一夜にふさわしい選曲だろう。なお、この時点では録音済み音源によってキーボードのサウンドは聴こえたものの、そのボリュームは絞られていたように感じた。


 そんな力強い開幕宣言を皮切りに、次々とラウドなナンバーが披露されていく。ここからは、彼女たちの“音楽性”に焦点を当てて振り返りたい。2曲目「R」では、相羽による激しいシャウトを皮切りに、会場のボルテージも大きく底上げされる。2番Bメロでは、ギターのビートを抜き、中島のベースをひときわ際立たせる一幕も。また、間奏では工藤がタッピングを繰り出すなど、メンバーが技巧で魅せる一曲となった。


 続く「熱色スターマイン」のBメロでは、相羽のボーカル、彼女以外のメンバーと『バンドリ!』ファンを指す“バンドリーマー”たちによるコーラスが幾度となく交わる。ここでは、バンドリーマーたちのコーラスが、相羽の芯ある歌声とも渡り合えるほどに凄まじい迫力を備えていた。この日に集まったのも、相当の精鋭揃いだとわかる。また「Neo-Aspect」では、楽曲のアニメMVをステージ後方のスクリーンに映し出す。映像とステージの照明を同期させることで、アニメ同様の演出を再現するなど、メディアミックス作品ならではの視覚で楽しませる時間となった。彼女たちのステージングから常に新鮮さを覚えたのも、このような見所が用意されていたためだろう。


 メンバーが一度ステージを離れたところで、2017年6月に開催された初の単独公演『Rosenlied』をはじめ、過去のライブ映像が流れ始めた。その途中には、今年5月にあった遠藤の卒業ステージを挟みつつ、9月のファンミーティングにおける明坂による別れの挨拶や、この日のメンバー4名が今回の公演に対する強い決意を述べるシーンには、とりわけ長い時間が割かれていた。


 Roseliaがこれまで歩んできた道のりは、決して平坦ではない。しかし、彼女たちが織り成すパフォーマンスからは、あらゆる局面をポジティブな方向に変換できる“頼もしさ”を感じた。今回に限らず、ライブに臨む上でファンが全力を捧げるべきは、ステージ上のメンバーの勇姿と彼女たちの奏でる“リアルな音楽”のみだろう。ここから演奏された「LOUDER」や、本編最後の「Re:birth day」を目撃して、Roseliaの音楽にはそうせざるを得ないパワーがあると強く確信させられた。


 アンコールでは、ゴシックな雰囲気の教会を舞台に、何者かがピアノを奏でる映像が流れ始める。それと同時に、ステージ中央に設置されたドラムが上手側に移動。代わりに下手側には、このライブで初めてキーボードが用意された。そして、ステージにメンバー“5名”が再び出揃い、この日の2度目となる「LOUDER」を披露。演奏後には5人目のメンバーが、新たに白金燐子役を務める新人アーティストの“志崎樺音”であると明かされた。


 あわせて、観客席にいたRAISE A SUILENのRAYCHELLを、相羽がステージに突然呼び出す。かと思えば、RAISE A SUILENが12月7日、東京・両国国技館にて開催するライブのオープニングアクトをRoseliaが務めることを明らかにした。そこから、彼女たちがダブルボーカルで「魂のルフラン」をコラボパフォーマンス。最後には新体制として初の「BLACK SHOUT」を熱演して、この日のステージに幕を降ろした。


 ライブを振り返り、相羽が自身のSNSにおいてRoseliaを好きな“3つの理由“を語っていたのが思い返された。その理由のひとつに挙げたのが「最後まで諦めず、妥協しない」こと。限られたメンバーだけで本編をやり遂げたステージからも、彼女たちの演奏には一切の妥協を感じなかった。この日のライブでは、彼女たちの音楽活動が更なる高みを目指すと改めて示されたようだ。だからこそ、Roseliaの鳴らす音楽には、心を奪われてしまうのかもしれない。(青木皓太)