12月5~6日に鈴鹿サーキットで実施されている全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同・ルーキードライバーテスト。この合同テスト初日にスーパーフォーミュラのSF14初ドライブを果たした坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)は、「慣れるのが精一杯で未知なる領域に踏み込んだ印象」と初走行をふり返った。
2018年は全日本F3選手権に参戦して全19戦中17勝、7月の第8戦岡山からは12連勝という圧倒的強さでシリーズチャンピオンを獲得した坪井。スーパーGTではGT300クラスのHOPPY 86 MCをドライブし、第5戦富士、第7戦オートポリスでポールポジションを獲得した。
またスーパーGT第2戦富士では、小林可夢偉の代役としてGT500クラスへ初参戦を果たすと、ヘイキ・コバライネンとともにDENSO KOBELCO SARD LC500をドライブして2位表彰台を獲得。11月に行われたマカオGP、F3ワールドカップにも参戦するなど、トヨタ/レクサス期待の若手として活躍している坪井だが、国内トップフォーミュラであるスーパーフォーミュラは未経験。今回の合同・ルーキードライバーテストがデビューとなった。
そのテスト初日、坪井は午前の走行で1分38秒710をマーク。午後の走行は1分40秒617がベストとなり、初日総合では21人中15番手につけた。同じJMS P.MU/CERUMO・INGINGからテストに参加した石浦宏明とは0.670秒差だった。
スーパーフォーミュラ初体験を終えた坪井は「今まで乗ってきたクルマとは全然違いますね。まったく別物というか。鈴鹿を1分38秒(台)で走るのは、未知の領域」と印象を明かす。
「(全日本)F3からひとつカテゴリが上がったとは言え、大きな差があるんじゃないかなと思います。(全日本F3と比べてラップタイムが)10~15秒くらい速いのかな? 最初は慣れるのが精一杯というか、流れていく景色が違いますし、コーナリングスピードもパワーも違いますから、未知なる領域に踏み込んだといった印象です」
「今回は冬季テストで速度域も高いと思います。シーズンを通してみても、今回のテストが1番速いと思うので、そこに対して慣れていかなくちゃいけないなと思います」
「まだ行ききれていない、(マシンを)操っているというより、操られているというか、クルマを理解して自分で攻めきれていない。まずはタイム差とかは考えないで、クルマに慣れること、スーパーフォーミュラはどう走ったら速くなるのかということを、この2日間で重点的にやっていきたいです」
■スーパーフォーミュラデビューで91周を走り込んだ坪井。身体的にも「今まで体感したことのない負荷」
テスト初日、坪井は午前に41周、午後に50周と計4.5時間の走行枠で91周を走り込んだ坪井。これはスーパーフォーミュラの鈴鹿2レース分に相当する走行距離だ。全日本F3とはレベルの異なるダウンフォース、グリップレベルを持つSF14での走行となれば、身体面への負荷も気になるところ。
この点について坪井は「F3で多少は慣れている部分もありますけど、今日(午前に)2時間と(午後に)2.5時間乗るとかなりきますね」という。
「冬の鈴鹿は1番負担がかかるので、今まで体感したことのない負荷がかかっている印象です。初めての走行でフルで走ったので、きてるはきてますね。特に首や肩にかけては負荷がかかっています」
「(マカオGPで負傷した)腰は問題ないです。大丈夫じゃなかったら乗ってないですしね(笑)。やっぱり一番は首。ある程度、想定はしていましたし、スーパーフォーミュラ(でかかる負荷)はこれくらいというのが掴めたので、それはそれで良かったかなと思います」
初走行で国内トップフォーミュラのポテンシャルに衝撃を受けたという坪井だが、同じJMS P.MU/CERUMO・INGINGからテストに参加している石浦から「盗めるものは盗んで吸収したい」と貪欲さもみせた。全日本F3で17勝し、スーパーGTでは2度のポール、GT500デビュー戦で表彰台という2018年の成績を考えると、シリーズフル参戦が決まれば新型シャシー導入で勢力図が入れ替わる2019年のスーパーフォーミュラでキーパーソンとなることは間違いないだろう。