2018年12月06日 10:32 弁護士ドットコム
医師や病院経営者、有識者らでつくる「医師の働き方改革に関する検討会」が12月5日、東京・霞が関の厚生労働省であった。医師の「時間外労働」をどう規制すべきか、厚労省がたたき台となる基本的な考え方を報告した。「絵に描いた餅」に終わらぬよう、現場の意識改革が欠かせないなどの意見が出された。
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厚労省はまず、大きな方向性として、(1)宿直や研鑽(自己研鑽)も含めた労働時間管理の適正化(2)医師以外の職種に仕事を分担するタスクシフティングの推進(3)上手な医療のかかり方の周知(不要不急の際にむやみに病院にかからないなど)を通じて、医師の労働時間を短くしていくとの方針を説明した。
そのうえで、休日でもその医師の診療が必要な場合が事実上あるとして、休日労働を含めた上限時間を設定することを提案。
さらに、勤務に際しては1日6時間程度の睡眠を確保することを基本とし、急患対応や手術などで必要な休息時間が得られない場合にはその分を積み立てて、別の機会に取得させる「代償休暇」(代休)を実施することも案として示した。
一方、医師不足が深刻な地域では、時間外労働規制をそのまま適用すれば地域医療体制が崩れかねない。医師に対する時間外労働の上限規制は2024年4月に導入される見通しだが、地域医療体制への影響が懸念される場合には対象となる医療機関を特定し、経過措置を設ける必要性も指摘した。
検討会の構成メンバーからは「現場での意識改革は重要。そうでないと絵に描いた餅になってしまい、もったいない」「現状では絵に描いた餅。具体的に時間数の削減をどう進めていくか、工程表などを作っていかないと議論は難しい」との意見が出された。
また、外来の予約はだいぶ先まで埋まっていて手術も簡単に休むわけにはいかないとして、「平日に休日を取れといっても難しい。代償休暇は幅を持って取れるように検討してほしい」との要望もあった。
一方、医師の働き方改革を進めるにあたって、国民が医療を受けにくくなるとの不安が膨らむことを心配する声も。
ある構成メンバーは「医師が長時間労働なのは間違いないが、医療へのアクセス制限に懸念がある。急なスピードで進めると国民が受け入れるのは難しい気もする」と話した。
(弁護士ドットコムニュース)