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吉岡里帆、松岡茉優、土屋太鳳、池田エライザ……歌声に注目したい新世代女優

2018年12月05日 17:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 女優の吉岡里帆が、12月5日に放送される音楽特番『2018FNS歌謡祭』(フジテレビ系)の第1夜に出演。映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』から生まれた阿部サダヲとのユニット・シン&ふうかとして「体の芯からまだ燃えているんだ」をテレビで初歌唱する。


参考:『今日から俺は !!』賀来賢人&伊藤健太郎も 高橋一生、竹内涼真、満島真之介ら俳優の歌声を検証


 『FNS歌謡祭』は、平井堅と平手友梨奈(欅坂46)や、谷村新司と壇蜜など、毎年様々なアーティストのコラボを行ってきた番組であり、今回は歌手として登場する吉岡里帆が一つの目玉となっている。


 三木聡監督の映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』で、吉岡は声が小さすぎるストリートミュージシャンのふうか役を演じた。驚異の歌声をもつ世界的ロックスター・シン(阿部サダヲ)に出逢うことでふうかが大きく成長し、最後はシンの意志を継承するかのごとく「絶叫の歌姫」として、「体の芯からまだ燃えているんだ」を歌い上げる。


 この楽曲は吉岡と公私ともに親交のあるあいみょんが作詞・作曲を手掛け、映画におけるクライマックスまでのシンとの関係を凝縮したような歌詞が印象的だ。それに加え、低めの声の吉岡から絞り出される高い音域から入る魂のこもった歌声から始まり、駆け抜けるような疾走感のある曲調も聴き心地がいい。この映画でギターと歌に初挑戦した吉岡。一夜限りのライブイベントで吉岡と阿部がサプライズでデュエットした際は、実際にアコースティックギターを弾き、映画やMVと比べても遜色のない声で歌い上げた。この2人の歌声が実に相性が良く、『FNS歌謡祭』でのパフォーマンスにも期待できる。女優の吉岡しか知らない人には良い意味でイメージが覆されるだろう。


 松岡茉優は、自身が出演するファッションブランド「ROPE’ PICNIC」のウェブ動画「どんなときも。 song by 松岡茉優」にて、槇原敬之の名曲「どんなときも。」を歌唱している。ヒロインから敵役まであらゆる役柄を演じ分け、その演技の緩急の差は若手随一と言える実力派女優。世間に注目された2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』では、劇中に登場するアイドルグループ「GMT」のリーダー役を演じ、『第64回 NHK紅白歌合戦』にも出演している。


 元々松岡はアイドル好きで、中でも9期メンバー加入後のモーニング娘。が好きと公言。本人役で主演した2016年のドキュメンタリー風ドラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(テレビ東京系)は、松岡が俳優を辞めアイドルを目指すことを決意し、最終回に憧れのモーニング娘。’16へ加入して、実際のコンサートでパフォーマンスを見せるという展開を迎える。物怖じぜず、他のメンバーに混ざっても全く違和感がない生歌とダンスを披露し、女優としての姿勢と変わらないストイックさを感じさせ、ドラマとリアルの境界線を超えた瞬間でもあった。


 「どんなときも。」では、囁くように歌う松岡。撮影後のインタビューで「歌のうまさは歌手さんではないからできないんですけど、俳優として“歌の心”みたいなところを理解したいなと努めました」と話していた松岡。彼女なら今後も歌う役が巡ってくる予感がする。


 土屋太鳳が、俳優・北村匠海(DISH//)との音楽ユニット・TAOTAK(タオタク)を結成。桜井和寿(Mr.Children)とGAKU-MCによるユニット・ウカスカジーが2016年に発表した「Anniversary」を、亀田誠治のプロデュースでカバーした。


 配信限定でリリースされた同曲は、2人が主演を務める12月14日公開の映画『春待つ僕ら』の主題歌でもある。土屋は歌よりもSiaの「Alive」日本版MVで見せたようにダンスのイメージが強いが、2017年公開のアニメ映画『フェリシーと夢のトウシューズ』の主題歌「Félicies」の日本版の作詞と主題歌を担当し、彼女らしさが出た透き通った歌声を披露している。


 今回ユニットを組む北村とは2011年に放送されたドラマ『鈴木先生』(テレビ東京系)で共演して以来、親交がある仲。公式コメントで土屋は「匠海は声をかけあってきた戦友で、ずっと音楽を真剣にやってきた人。ストリートライブを応援に行った7年前、ファンの方々の向こうで歌う姿は今よりずっと少年でした。まさかこんな日が来るとは…でも挑戦出来るからには、心を込めて届けたいと思います」と意気込みを語っている。国民的女優の歌手としての歩みにも注目していきたい。(参考:土屋太鳳&北村匠海(DISH//)による音楽ユニット“TAOTAK”結成 11月に配信限定リリースも)


 NHK・BSプレミアムの音楽番組『The Covers』の3代目女性MCに抜擢され、久保田早紀の「異邦人」を歌って以来、その歌声に注目が集まっているのが池田エライザだ。


 池田はファッション雑誌『nicola』や『CanCam』の専属モデルとして活躍した一方、女優としても映画『みんな!エスパーだよ!』(2015年)や『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年)など数多くの作品に出演している、美貌と色気を兼ね備えた新世代の若手女優。ブレイク前からTwitterで情報を発信し女子中高生たちの間で人気となり、InstagramやTwitterでたまに披露されるギターの弾き語りの上手さが以前から話題となっていた。若干ハスキーがかった囁くような歌声は、ノラ・ジョーンズを彷彿とさせる。


 そんな池田の歌声をInstagramで聴いた米津玄師が「いつか一緒に何か出来たらなと思っていました」と、2017年リリースのアルバム『BOOTLEG』の収録曲「fogbound」のコラボアーティストとして抜擢。(参考:米津玄師 ソニーミュージック公式HP)。ちなみに、『The Covers』で「異邦人」を歌ったのは、エレファントカシマシの宮本浩次が「池田に歌ってほしい昭和の歌謡曲」として推薦したからだという。アーティストをも魅了する池田エライザの歌声。歌手デビューが待望される女優の一人である。


 女優が歌でも注目されるというのは、古くは吉永小百合や薬師丸ひろ子、広末涼子、新垣結衣も若手の頃はCDをリリースしていたりと、歌は時代を彩る人気女優としての一つのステータスとも言えるだろう。映画やドラマの中から生まれた歌手として、RUI(柴咲コウ)「月のしずく」や蓮井朱夏(菅野美穂)「ZOO~愛をください~」など別名義でヒット曲を出すケースもあった。今回紹介した女優たちの歌手としての活躍にも注目していきたい。(本 手)