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宮脇咲良ら参加のIZ*ONE、『FNS歌謡祭』にて日本の音楽番組初歌唱 グループ独自の強みを解説

2018年12月05日 17:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 IZ*ONEは、日韓共同のアイドルオーディション番組として大きな話題を呼んだ、『PRODUCE 48』から生まれたK-POPアイドルグループだ。放映当時からオーディションのプロセスに視聴者が手に汗を握ったのはもちろん、審査員のコメントがはからずも日韓それぞれに求められるアイドル像の違いを浮き彫りにするなど、デビュー前から注目を集めてきた。果たしてリリースされたデビューミニアルバム『COLOR*IZ』やリード曲「La Vie En Rose」では、盤石のクオリティの楽曲とMV、そしてパフォーマンスを見せつけ、今後の活躍に向けて好スタートを切った。


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 注目は、12人という大所帯のガールズグループが繰り広げる、一糸乱れぬ繊細なコレオグラフィだろう。もともとK-POPのアイドルグループは、男女問わずそのダンスパフォーマンスのクオリティからも注目を集めてきた。頻繁なフォーメーションチェンジとダイナミックな身振りが抜群のチームワークで繰り広げられる様子は、「カルグンム」と呼ばれてK-POPの代名詞にもなっている。しかし、「La Vie En Rose」で披露される幾何学的なコレオグラフィは、手先の表現までを用いた細やかさや、躍動感としなやかさを同時に表現する一挙一動が、他にはないインパクトを残す。


 そのことは、大所帯のガールズグループのパフォーマンスと比べてみるとよくわかる。同じく今年待望のデビューを果たしたLOOΠΔも、12人のメンバーを擁するガールズグループだ。そのダンスはもちろんK-POPの水準のなかで見ても十分に高いが、IZ*ONEとは対照的に、メンバー個々のエネルギッシュな動作、躍動感のほうに重点があるように見える。


 日本人メンバーを擁している点や、オーディション番組発という共通点を持つTWICEも同様だが、さらにアイドルそれぞれの個性を際立たせるようなバラエティ豊かな衣装もあって、グループのなかに様々なキャラクターが同居した賑やかさが感じられる。


 統一された衣装と、適度に抑制の効いたなめらかで優雅なジェスチャーがグループとしての一体感を生んでいる点が、IZ*ONEが持つ第一の強みだろう。


 また、しなやかで細かい手の動きや幾何学的なフォーメーションが印象的なコレオグラフィの例としては、今年デビューした公園少女(GWSN)の「Puzzle Moon」も忘れがたい。しかし公園少女は7人組ということもあり、IZ*ONEよりもタイトにまとまったスマートなパフォーマンスになっている。


 「La Vie En Rose」と同じコレオグラファー(チェ・ダソム)が手がけたGFRIEND「Love Bug」も、指先までを使ったやわらかなジェスチャーをフィーチャーしているものの、こちらも6人組でタイトさが押し出されているように思う。


 対して、IZ*ONEの万華鏡のようにステージ上を埋めるパフォーマンスは、彼女たちの第二の強みだ。


 こうしてみると、大人数を活かした華やかなフォーメーションチェンジと、咲き乱れる薔薇のようなしなやかさを感じさせる指先の動きが調和した「La Vie En Rose」のコレオグラフィとそのパフォーマンスは、日韓のコラボレーションから生まれたアイドルグループが、その技量の高さとチームワークを誇る絶好の舞台だと言える。


 冒頭で述べたように、『PRODUCE 48』では日本のアイドル文化と韓国のそれとのギャップが良かれ悪しかれ話題となったために、研ぎ澄まされたパフォーマンスをこなしてみせる3人の日本人メンバー(宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美)の活躍は素直に喜ばしく、驚きだ。同曲のMVでの3人の見せ場も、各々が持つ魅力を引き出している。とりわけ鮮やかな赤のドレスと壁紙に囲まれた宮脇咲良のショットは深い印象を残す。


 IZ*ONEの特徴的なコレオグラフィを考えるにあたってK-POPのMVやパフォーマンスのクリップを見返してみて、アイドルのパフォーマンスに求められるクオリティがどんどん上がっていることを改めて認識した。手の動きが印象的なコレオグラフィとして最初に思い浮かんだのは、ヴォーギング風のジェスチャーを取り入れた2015年リリースのf(x)「4Walls」だった。


 ダンサブルな楽曲もメンバーたちのパフォーマンスも色あせてはいないものの、「La Vie En Rose」や「Puzzle Moon」の達成は確かにその先に行っているように思える。IZ*ONEの活躍が、日本のお茶の間に今後どんなインパクトを残すかが楽しみだ。(imdkm)