12月4日、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズは2019年シーズンから適用されるスポーティングレギュレーションの変更概要を発表。ツーリングカーシリーズやGT3カテゴリーなどで採用実績のある“サクセスバラスト”をGTEクラスに導入することを明らかにした。
WEC世界耐久選手権/ル・マン24時間レースでも使用されるLM-GTEマシンで争われるELMSのGTEクラス。
同クラスはWECのLM-GTEプロ、GTEアマクラスと同様にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によって車両間の性能が調整されているが、2019年シーズンはこれに加えて、レース結果に応じたウエイトハンデを背負うサクセスバラスト制が採用されることとなった。
車両に搭載されるウエイトは項目A、B、Cの3つを合算することで決定する。項目Aは前戦の結果、項目Bは2戦前のレース結果に準じ、それぞれ1位15kg、2位10kg、3位5kgが加算され、未出場車にも15kgのウエイトが載せられる。
また、項目Cはシリーズランキングのトップ3に課せられるハンデとなっており、こちらも項目A、Bと同じくランキング首位が15kg、2位10kg、3位5kgというように設定された。このため、仮に2連勝しランキング首位となった状態で次戦を迎えた場合、当該マシンはBoPによる調整に加えてサクセスバラスト45kgを搭載してレースに臨むこととなる。
■給油中のピット作業を1年でふたたび禁止に
この他の変更点は、ル・マン24時間への招待枠の拡大、ピット作業手順、ドライバーラインアップ規定の厳格化、スポット参戦チームの扱いという4点だ。
まず、招待枠の拡大だが、ELMSではこれまでLMP2、LMP3、GTEの各クラスチャンピオンがル・マン24時間へ自動エントリーを獲得していた。2019年はこれが一部変更され、LMP2チームはトップ2チームがサルト・サーキットで行われる伝統の一戦に招待されることとなった。
ピット作業手順については、WECと同様に今季から解禁されていた給油中のタイヤ交換などの作業が、来シーズンはふたたび禁止されることに。ドライバーラインアップ規定の厳格化はFIAが定めるドライバーグレードに基づく起用の徹底を促すもの。
これは2018年、ジェントルマンドライバーでありながらゴールドに昇格したロマン・ルシノフ率いるGドライブ・レーシングが、プロドライバーのみのラインアップでの参戦を画策したことが背景にあるとみられる。
なお、Gドライブは最終的にシルバードライバーのアンドレア・ピッツィトーラを起用し、ルシノフ(ゴールド)、ピッツィトーラ(シルバー)、ジャン-エリック・ベルニュ(プラチナ)という布陣を敷くと、最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを決めてみせた。
最後のスポット参戦チームの扱いは、当該チームとドライバーは参戦したレースのリザルトを残すことはできるものの、シリーズランキングポイントは与えられないとした規定だ。
2019年のELMSは4月9日のポール・リカール公式テストを経て4月14日、同地で第1戦ポール・リカール4時間レースが開催される。