大手衣料品チェーン「しまむら」が全ての取引先企業に対し、技能実習生への違法行為がないよう求める通知を出すことが12月5日までにわかった。同社が商品を仕入れていた衣料品メーカーの下請け企業で、ミャンマー人技能実習生への違法行為が発覚したことがきっかけだ。
ものづくり産業別労働組合JAMによると、岐阜県にある縫製会社キングスタイルでは、社長とミャンマー人技能実習生の5人で衣料品への値付けや梱包などの作業をしていた。技能実習生は26~31歳の女性で、事務所の2階に住んでいたという。
JAM「サプライチェーンでの違法行為や人権侵害を根絶するための対策」を要請
2018年1月と2月の賃金は基本給が6万円で、残業代は1時間600円だった。岐阜県の最低賃金は800円であるため、法定労働時間を働けば月給は14万800円になるはずだ。JAMは「明らかに最賃法に違反している。そのうえで時間外労働が時給600円とはもっての外である」と指摘している。
実習生たちは長時間労働も強いられていた。朝7時に仕事を始め、昼食休憩を30分程度、夕方に夕食休憩を30分程度とり、その後も働いていたという。仕事の状況にもよるが、遅い時は午前1時30分頃まで働いた。1か月の時間外労働は2018年2月で191時間、4月で218時間に及んでいる。
また、仕事内容は、出来上がった衣料品をダンボールから出して値札を付けたり、送り先ごとに品名と数量を確認してダンボールへ梱包して発送したりするなど、技能実習とは関係ないものがほとんどだった。社長からの暴言もひどく、小さなミスで怒鳴られたりしていたという。
キングスタイルがしまむらの衣料品も扱っていたことから、JAMと在日ビルマ市民労働組合は11月12日、同社に対応を要請した。要請書では、こう訴えている。
「株式会社キングスタイルと直接の契約関係がないとしても、貴社がかかわるサプライチェーンの底辺での違法行為や人権侵害を根絶するために、事実関係の調査と、そのうえで再発防止に向けた具体的な対策を講じていただくようお願いいたします」
しまむらは取引企業への聞き取り調査も検討
しまむらの担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「JAMからお話をいただき、対応を検討している。法令遵守やCSRの観点から、サプライチェーン全体で違法行為がないよう、直接お取引のある企業に求めていきたい」と話す。キングスタイル以外で、「直接取り引きのある企業への聞き取り調査を検討している」という。
ネットでは、しまむらの安価な衣料品がこうした技能実習生の労働に支えられているのかという声も出ているが、「直接関係はないと思うが、そうしたご意見を把握していないので現時点では弊社としてご回答できない」とのことだった。