セクハラやパワハラに悩まされている人は多いが、「お前って自分勝手だから典型的なB型だよな」というように血液型で差別される"ブラッドタイプ・ハラスメント"にイライラさせられている人も少なくない。血液型と性格に関係性がないことは科学的に証明されているが、血液型と相手の性格を結びつけようとする人は後を絶たない。
なぜ日本人は血液型と性格を結びつけてしまうのだろうか。12月3日の『新説!所ジャパン』(関西テレビ系)は、その理由を特集した。(文:石川祐介)
「武士が切腹できることと血液型に自分を当てはめる事、2つは遠いものではない」
歴史学者の磯田道史氏は「血液型は"血液"と"型"ですよね。血液って言うよりは型が好きなんですよ」と説明。日本人は、
「血液型など、外側から決めてくれるようなもので説明されると割と安心する」
と、特徴や属性が規定されると安心感を覚える傾向があると指摘する。
その上で、江戸時代の武士が切腹できたのは、「お前は武士でいざとなったら主君のために、潔く切腹するような型の人なんだ」というパブリックイメージが浸透していたためではないかと分析する。そのため、
「武士が腹を切れる事と血液型に自分を当てはめる事の根っこっていうのは、そんな遠いものではないのかもしれない」
とも述べていた。
「人のことを理解したつもりになって安心したいっていうのがある」
聖徳大学教授の山岡重行氏によると、日本人の血液型の分布は「大雑把に言うと、A型が4割、O型が3割、B型が2割、AB型が1割」だという。イギリスではO型が47%、A型が42%も占めていて、日本は世界的に見て、血液型のバランスが取れている国のようだ。
「日本は4つの型がとりあえずいるんですね。諸外国だと、人種が違う、宗教が違うとか。そういった人間を区別するものがたくさんあるのですが、日本だと区別するものがあんまりないんですね」
日本では他者と自分を区別する指標があまりないため、ある程度の釣り合いが取れている血液型を判断材料に用いていると分析する。
さらに、「血液型で分けて、人のことを理解したつもりになって安心したいっていうのがある」とも言う。磯田氏の見解同様、血液型に自分や他者を当てはめて安心感を獲得したいという願望があると語った。