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教員の長時間労働をうむ「給特法」改正を 現役教員ら3万2500人分の署名提出

2018年12月04日 18:32  弁護士ドットコム

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公立教員の時間外勤務手当などを支給しないと定めている「給特法」の改正を求めて、現役公立教員と教育学者、過労死遺族などが12月4日、3万2500人分の署名を文科省と厚労省に提出した。


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提出後に東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した中部地方の高校教員、斉藤ひでみさん(仮名・30代男性)は「毎年のように同僚が倒れていくのを目の当たりにしてきた。現場の思いを国に知ってもらい、社会全体でこの問題を考えていただきたい」と訴えた。



●「原則として時間外勤務を命じない」給特法

1972年に施行された「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)により、公立学校の教員には時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、基本給の4%に当たる「教職調整額」が支給されている。



「原則として時間外勤務を命じない」ことになっているが、正規の時間を超えて勤務させることができるのは、(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされている。



斉藤さんは今年2月末から「change.org」(インターネット署名サイト)で給特法改正を訴える署名活動を始めた。「教員の長時間労働の根源は給特法」と主張し、やらざるを得ない残業は残業と認める▽残業には労基法で定められた残業代を支払う▽残業時間に上限を設定するーーなどを求めていた。



●「中教審は給特法の問題、進めていない」

学校における教員の働き方改革をめぐっては、現在、中央教育審議会(中教審)の特別部会で議論が行われている。11月13日に開かれた中教審では、答申骨子案が出されたが、給特法に関する具体的な記述はなかった。



共栄大学の藤田英典教授は「中教審の審議自体が、この給特法の問題について十分な対応を進めているようには考えられない」と指摘する。



「この20年で構造的に業務が膨れ、残業しないわけにはいかない状態。加えて、世間からは『教師は献身的に尽くして当たり前』という見方もある。それを支えているのが、給特法」と話し、中教審で検討されている変形労働時間制の導入では、問題の本質的な改善にはならないと懸念した。



日本大学の広田照幸教授も「中教審は今までの枠組みの延長でしか議論しておらず、抜本的な解決ができない」と話した。



(弁護士ドットコムニュース)