トップへ

目指すはハリウッド 『僕らは奇跡でできている』矢作穂香が語る、20歳を超えて芽生えた意識の変化

2018年12月04日 15:12  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 現在放送中の高橋一生主演ドラマ『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)は、生き物のフシギが大好きな大学講師・相河一輝が周囲の人々を翻弄しながらも、常識や固定観念にとらわれないものの見方で、周囲に緩やかな変化をもたらしていくコミカル・ハートフルドラマだ。


参考:西畑大吾が語る、芝居に対する考え方 「僕の活動が関西ジャニーズJr.に何かいい形で還元できたら」


 今回リアルサウンド映画部では、主人公の大学講師・相河一輝の講義を受ける大学生・青山琴音を演じている矢作穂香にインタビュー。現場の雰囲気や主演の高橋一生の印象、そして自身の将来の目標などについて語ってもらった。


ーー今回の青山琴音役を演じるにあたって何か意識していることはありますか?


矢作穂香(以下、矢作):何かこうっていうわけではないんですけど、みんなが成長していくお話なので、向上心を持って臨むことを意識しています。物事をマイナスに考えないこと、そして強い意志を持ってやりたいことを貫いて、自信を持とうという気持ちは大切にしています。


ーー琴音は思ったことをはっきり言うタイプです。


矢作:琴音は、北香那ちゃんが演じている桜に、いつも「すごいね」って言われるんです。それを自分では自覚していないところが、琴音の素敵なところだなと私は思っています。自覚しながらではなくて無意識に行動してしまうところが、人間味を感じられて面白いなと思っています。


ーー自身の性格と比べてどうですか?


矢作:私は自分の思っていることを全然はっきり言えるタイプではないです(笑)。なのですごく憧れますし、これを機に言えるようになったらいいなとちょっと勇気をもらっているぐらいです。


ーー“ファッションが好きなオシャレ女子大生”や“肉食系女子”など、分かりやすいキャラクター付けがされているのも特徴です。


矢作:最初は本当にどうやって役作りをすればいいか悩んだんです。だけど、まずは形から入ってみようと思って、髪も染めて、ネイルもして、洋服も衣装さんに用意していただいて……。第1話の衣装がはっきりしたピンクだったので、「ここまでいっちゃっていいんだ」と思ったんです。それがきっかけで振り切れたというか、思い切ってお芝居をすることができたな思います。


ーーもうすぐ最終回を迎えますが、撮影の雰囲気はどうでしたか?


矢作:この作品はオリジナル脚本なので、話がどう進んでいくのかが全くわからなくて、ものすごくドキドキ感がありました。私が相河先生のことを好きになるっていうこと自体がまず驚きで(笑)。同じ大学生の4人グループは、最初は本当に喋らなかったんです(笑)。設定や役柄もあったので、初めはぎこちない空間だったんですけど、撮影が進むにつれて仲良くなっていく感じでした。ドラマの中と同じように、みんなで大学生ライフを体験できました。


ーー相河一輝役の高橋一生さんとの共演は今回が初めてですね。


矢作:共演する前から一生さんのお芝居が大好きだったので、撮影に入る前からいろいろ勉強させていただきたいなと思っていたんです。一生さんは人間としても学ぶところがたくさんあって、本当に素晴らしいなといつも尊敬しています。すごくクールな方だと思っていたら、お茶目な一面がたくさんあることにも驚きました。一生さんは、とにかく現場の雰囲気を大切にしてくださるんです。緊張感がある撮影の中で、みんなを笑わせたり、面白いことをしてくださったりするので、とても助けられています。


ーー琴音は相河先生のことを好きになる設定ですが、その気持ちは理解できますか?


矢作:インターネットなどで皆さんの感想を見ていると、「これはもう好きになる!」「あの笑顔を向けられたら好きになっちゃう!」という声がものすごく多いんですよね。私も本当にそうだよなと思って(笑)。女性はギャップのある不意の笑顔に弱いので……(笑)。


ーー相河先生のギャップに惹かれるところがあると。


矢作:やっぱりギャップなんだと思います。普段は何を考えているのか、何をやっているのかよく分からない印象だけれども、急にニコリと笑顔を見せられると、「こんな笑顔も私に向けてくれるんだ」とドキっとしてしまいますよね。いきいきしている部分がたくさんあるし、人間としてもすごくキラキラしているので、素敵だなと思います。


ーー子役の頃から活躍されている矢作さんですが、最近は演技の幅もかなり広がっているような印象です。


矢作:昔は小学生の役を演じていたのに、今は大学生の役ですからね……。『イタズラなKiss~Love in TOKYO』(フジテレビTWO)で演じた琴子は、最後は30歳ぐらいになっていましたけど、その時は違和感しかなかったんです(笑)。でも20歳を過ぎてから、演じる役柄の年齢をそこまで気にすることはなくなりました。逆に制服を着て高校生を演じるほうが勇気がいるぐらいです(笑)。


ーー年齢を重ねるにつれて意識も変化しているんですね。


矢作:そうですね。でも、昨年出演させていただいた映画『花筐/HANAGATAMI』の大林宣彦監督がおっしゃっていたんですけど、ハリウッドでは、役者は自分の年齢を言わないらしいんです。実際の自分の年齢ではなくて、「〇〇歳から〇〇歳」というように、自分が演じたことのある年齢を言うみたいです。経験したことがある年齢の役は、たとえ歳を重ねてもできるんだと。『花筐/HANAGATAMI』では、私は16歳の役を演じましたし、窪塚俊介さんや満島真之介さんは17歳の役を演じたんです。「経験したからこそできることがたくさんある」「そこに年齢の深みが出てくる」という大林監督の言葉にはすごく納得させられました。


ーー『花筐/HANAGATAMI』での経験は矢作さんにとっても大きなものになったようですね。


矢作:本当にそうですね。ニューヨークへ語学留学に行って、帰ってきてから初めての映画だったので、私にとって新しいスタートでもあり、集大成でもあるような、宝物のような作品になりました。


ーー将来は海外映画に出たいという目標もあるそうですね。


矢作:その気持ちは強いです。 昔からオードリー・ヘプバーンさんが大好きで、海外の作品は昔からずっと憧れていたので、いつか出れたらいいなと思っています。


ーー目指すはハリウッド?


矢作:ハリウッド目指して頑張りたいですが、その前に今できることをきちんとやらないといけないとも思っています。 私は自分の経験から引っ張り出してきて役を演じることが多いんですけど、その引き出しがなかったら、一体どうなるんだろうと思うんです。なので、自分への挑戦として、自分自身とはかけ離れた、全く共通点のないような役に、今後挑んでみたいです。(取材・文=宮川翔)