映画『プレイルーム』が、12月8日から東京・シネマート新宿で公開される。
同作は、ストリッパーや女優、モデル、パフォーマーとして活動する若林美保が主演を務める5本の短編からなるオムニバス映画。ナリオ監督の『などわ』をはじめ、松蔭浩之監督の『 L I O N 』、中村真夕監督の『クローンハート』、佐々木誠監督の『熱海の路地の子』、福島拓哉監督の『Floating』で構成される。
バンド「イギリス人」の同名曲が原作の『などわ』は、渋川清彦演じる売れないバンドマンのキーと、若林演じる36歳のOL・リコの結婚にまるわる物語を描いた作品。『 L I O N 』は幼少時に誘拐され、監禁されたまま成長した人造人間テロリスト「No.17」を描く。『クローンハート』は中村監督の実体験をもとにした作品で、謎の男・直樹との交際に不安を抱えるみゆき役を佐伯日菜子、みゆきの友人でカウンセラーのミホ役を若林が演じている。
若林が須森隆文と共演する『熱海の路地の子』は、帯谷有理によるテキスト『路地の子』の舞台を静岡・熱海に置き換えて映画化したもの。『Floating』は幼い娘を失い、セックスレスの日々を送る夫婦の織り成す物語を描いた作品。若林のほか、園部貴一、高橋卓郎、稲村梓が出演する。
映画のオフィシャルサイトでは、会田誠、三代目葵マリー、PANTA(頭脳警察)、ロバート・ハリス、ヴィヴィアン佐藤のコメントが公開。会田は「若林さんは最近メディアでとんとお目にかかれなくなった『影のある大人の女』」、ヴィヴィアン佐藤は「5人の『若林美保』は、私たちを、撫でられることを欲するちっちゃな名前のない猫にしてくれる」と評している。
なお公開初日の12月8日には、シネマート新宿で舞台挨拶を実施。若林や各作品の監督、キャストなどが登壇予定だ。
■会田誠のコメント
若林さんは最近メディアでとんとお目にかかれなくなった「影のある大人の女」。
かつてのエロ劇画的雰囲気ともうしましょうか。
監督たちが皆ここぞとばかりに「我が内なるアングラ魂」を爆発させたのはよくわかります。
■三代目葵マリーのコメント
若林美保がわかみほを演じてるのか?わかみほが若林美保を演じてるのか?
相変わらず謎だらけの女。
無色の女/わかみほさんに色付けて行く監督5人。
どんな色にも染まる、わかみほさん。
塗り絵の腕次第で、わかみほさんの色が変わる。
仕上げは、わかみほさんが独自に醸し出す色で染め仕上げているかの様。
若林美保と、わかみほが上手く混在し全く違う5色の、わかみほが観る事が出来る。
■PANTA(頭脳警察)のコメント
このところ、セックス&ザ・シティなり、自分も出ている「食べる女」なり、女の生き方、在り方を描く映画が目立つように感じる。
絵に描いたようにベタなイメージのバンドマンのキーくんの演じるお人よし加減が妙にツボにはまる結婚報告へ向かう同棲男女物語、この「などわ」に始まり、時空のテロリスト? クローン、マイノリティーセックス、亡くした娘、浮気と向き合う結婚10年目の男女など、五編の短編が綴られていくのだが、全編、通常映画と見まがうほど、間合いをゆったりと取った展開、言葉も高齢者にやさしくゆったりナレーションのように台詞が語られていくので、昨今の目まぐるしいカットが続く映画を見慣れている目耳にはとてもやさしく感じられる。
こんな内容だったのかとと理解するのは解説を見ればいい、まずはたっぷり与えられたその間合いでいろいろ妄想を翔ばせる映画だった・・?
■ロバート・ハリスのコメント
若林美保という女優を主役にした映画 ? というテーマの元に集まった5人の映像作家。
一人ひとり、かくも異なるタイプの作品が生み出されるのかと、驚くばかりである。
まるでアートのグループ展を見ているような、多角的、多元的なオムニバスだ。
■ヴィヴィアン佐藤のコメント
私たちは、結婚に立合う猫の神父となり、 臨界を穿つ猫のパワーショベルとなり、 心を無くした猫の魂となり、 熱海を彷徨う猫の呑んだくれとなり、 両親を見守る仔猫の霊となる。
5人の「若林美保」は、私たちを、撫でられることを欲するちっちゃな名前のない猫にしてくれる。