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暇を恐れる「空白恐怖症」、国語辞典『大辞泉』の新語大賞に 「大迫半端ない」は投稿数1位になるも最終選考候補入りならず

2018年12月03日 18:01  キャリコネニュース

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小学館が発行する国語辞書『大辞泉』は12月3日、「第3回大辞泉が選ぶ新語大賞」を発表した。今年5月から11月までの間、一般の人から新語とその訳を募集し、月ごとの「新語」を決めていた。

1位に選ばれたのは、「空白恐怖症」。意味は

「自分の仕事がないときに、あたかも仕事をしているように見せるためにダミーの予定やフェイクの予定を入れるほど、自分の予定が空白な事を恐れること」

だという。次点には「卒婚」と「ご飯論法」が選ばれた。選考は、明治大学国際日本学部の田中牧郎教授を特別選考委員に、『大辞泉』編集長の板倉俊さん、副編集長の大江和久さんら、他スタッフと共に行われた。

「観念的な恐怖感を『○○恐怖症』と表すところが意味的に新しい」


1位の空白恐怖症について田中教授は、

「観念的な恐怖感を『○○恐怖症』と表したところが意味的にも新しく、新語大賞とするのにふさわしい言葉」

とコメントしている。これまで大辞泉に載っていた「恐怖症」は、「対人恐怖症」や「高所恐怖症」など、「ある状況で陥った身体的なパニックに、また襲われるのではないかと心配する恐怖感のもの」だったが、「空白恐怖症」はスケジュールに空白があることで危機に陥ったり誰かから咎められたりした経験に基づかない。こうした点から新しい言葉だと評価された。

一方、大江さんは選考会で「空白恐怖症」について、「漫画やイラストなどの描線が非常に緻密であること、紙面にびっしりと描き込んでいることを指して、漫画ファンたちが『あの作家の【空白恐怖症】ぶりはスゴい!』と、やや褒める意味もある」と指摘。「スケジュールうんぬんの用法とどちらが先かは要調査の課題」だと語っていた。

最終候補にはこのほか、投資で1億円以上の資産を築いた人を指す「億り人」、大学入試の浪人回数が多い「多浪生」、ワールドカップで導入された「フェアプレーポイント」などが挙がっていた。

投稿総数2070本のうち最も多かったのは「大迫半端ない」(48本)だったが、個人名を含んでいること、「半端ない」は2012年に『大辞泉』に収録されていることから、最終候補から外れた。

大賞、次点共に正式な語訳は今後、大辞泉編集部が辞書の執筆陣に作成を依頼する。『デジタル大辞泉』には、執筆陣らによって新たに完成した語訳が掲載される見込みだ。