11月24~25日に中国の上海国際サーキットで開催されたCTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップの最終戦は、開幕戦以来の参戦となったSAICフォルクスワーゲン333レーシングのロブ・ハフ(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)が今季3戦3勝目をポール・トゥ・ウインで飾るも、まさかのペナルティ。これによりワイルドカード枠ドライバーが活躍した東風起亜レーシングがチャンピオンに輝いた。
2018年もWTCR世界ツーリングカーカップと並行してCTCCに参戦したロブ・ハフは、同じく上海で開催された開幕戦以来のエントリー。しかし、そのブランクを感じさせることなく予選から速さを披露したツーリングカー界の“チャイナ・マイスター”は、今回スポット参戦を果たした新チームメイト、マ・キンファ(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)を従えて幸先良くポールポジションを獲得した。
土曜午後にスタートが切られた8周スプリントのレース1は、ポールシッターのハフが抜群のダッシュを決めホールショット。F1のリザーブや、WEC世界耐久選手権、ABBフォーミュラE選手権やWorldRX世界ラリークロス選手権など、グローバルに活躍を演じるマ・キンファもハフに続けと喰い下がるが、セカンドロウ3番手から発進したBTCCイギリス・ツーリングカー選手権レギュラーのアダム・モーガン(BAICセノヴァD50)が2周目のバックストレートエンドでフォルクスワーゲンをクリーンに捉えて2番手へ。
これで首位争いはハフ対モーガンのイギリス人名手同士の対決となり、3番手にマ、4番手に長安フォードFRDチームのマーティン・カオ(フォード・フォーカスCTCC)が続くトップ4のオーダーに。
一方、フォルクスワーゲンとタイトル争いを展開する東風起亜(ドンファン・キア)勢は、ワイルドカード枠でのエントリーとなる武漢市街地勝者のアレックス・フォンタナ(キアK3 2.0T)や、ドライバーズランク首位のレオ・リー(キアK3 2.0T)らがバラスト搭載に苦しみ下位に沈む展開となり、9、10位フィニッシュが精一杯。
残り3周時点で多重クラッシュが発生し、セーフティカー(SC)先導フィニッシュとなった展開にも助けられ、ハフが今季出走3戦3勝のトップチェッカーとなり、2位にモーガン、3位に来季レギュラーシート獲得を狙うマが続く表彰台となり、これでポイント上はVWがキアを逆転し、14.5ポイントのリードで明日のシーズン最終ヒートに臨むこととなった。
「ここ上海は僕にとって相性が良いみたいだ。キア勢に対してVWはBoPが厳しく、あのままレースしていたらオーバーテイクされた可能性もあった。ラッキーだったね」とハフが振り返れば、2位のモーガンも「マシンは非常に力強く、SC導入は本当に残念だった。それでもロブ(ハフ)が僕を前に行かせてくれたかどうかは分からないけどね」と、同郷のスターを立てるコメントを残した。
しかしその直後、レーススチュワードはビデオ検証を行いハフにジャンプスタートでのペナルティ裁定を下すと発表。これによりレース1勝者はモーガンとなり、ハフは明日午後のレース2を15番グリッドからスタートすることになり、ポイント上でも再びキアが先行する苦しい展開となった。
そのトップ12のリバースグリッドでスタートした12ラップの今季最終レースは、ハフのチームメイトであるレギュラー勢の一角、ロドルフォ・アヴィラ(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)がポール、ドライバーズタイトルを決めたレオ・リーが2番グリッド、その僚友フォンタナが3番グリッドからのレースとなったが、スタート早々にフォンタナが前方2台を仕留め首位に浮上。
その背後には、今回の上海ラウンドに長安フォードFRDの助っ人として起用されたぺぺ・オリオラ(フォード・フォーカスCTCC)が上がり、フォンタナを追う展開に。
一方、フォルクスワーゲン勢はレースペースこそ悪くなかったものの、4台目のラマンドGTSのステアリングを握るチェン・チャン・ダン(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)が8周目にオリオラを仕留めて2位、マもそれに続き3位を獲得するも、勢いはここまで。
ハフも最後尾から6番手にまで這い上がる力走を見せたが、5位のアヴィラとともにキアを逆転することは叶わず。フォンタナが勝利を飾り、東風起亜がCTCC最上位クラスで初となるマニュファクチャラーズタイトルを手にしている。