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CNBLUE、FTISLAND、DAY6……バンド形態で魅せるK-POP

2018年12月03日 14:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 K-POPというジャンルは「ダンスグループばかり」だと思われがちだが、実はそういうわけでもない。たしかに、テレビ番組などでの露出が多いのはダンスグループだが、中にはバンドも存在している。彼らは日本でも活躍し人気もあり、それなりの地位を確立しているのも事実だ。


(関連:DAY6が語る、日本デビューにかける思いと音楽的ルーツ 「メロディやハーモニーは全世界共通」


 今回は、現在活躍している代表的なK-POPバンド、CNBLUE、FTISLAND、DAY6を取り上げ、それぞれの個性について考察してみたいと思う。


■デビュー前に日本で武者修行をしたCNBLUE


 K-POPのバンドと聞いて多くの人が思い浮かべるのがCNBLUE(シーエヌブルー)ではないだろうか。実は、彼らが最初にバンド活動を始めたのは日本だった。2009年6月に「音楽武者修行をしたい」ということで、バンド文化が盛んな日本に来日し、東京で暮らしながら路上やライブハウスで100回以上のライブ活動を行ったという。


 2009年8月に日本のインディーズレーベルからミニアルバム『Now or Never』を発売。日本では約1年の間に2枚のミニアルバムを発売し、韓国に戻り2010年1月14日ミニアルバム『Bluetory』でメジャーデビューした。つまり、CNBLUEは日本先行型のバンドだったのだ。その後、韓国と日本を行ったり来たりしながらライブツアーや音楽活動を活発に行い、バンドとしては日韓で確固たる地位を築いている。


 CNBLUEのメインボーカルはヨンファだが、ギターのジョンヒョンもボーカルを取るツインボーカルというスタイルだ。ハスキーで甘い声を持つヨンファと、男っぽく力強い声のジョンヒョンの2人のハーモニーはCNBLUEの色になっている。筆者はBon Joviのジョン・ボンジョヴィとギターのリッチー・サンボラにおけるツインボーカルスタイルを少し思い出した。


 現在、メンバー全員が入隊しバンド活動は休止となっているが、入隊前に録音した音源やソロ作品などを発売し、ファンの寂しい気持ちを埋めている。メンバー全員で音楽を作り出すことがバンドの醍醐味であるなら、全員がほぼ同じタイミングに入隊することを選んだ彼らは、非常にバンドらしい選択をしたのではないだろうか。


■イ・ホンギが中心のロックバンド FTISLAND
 CNBLUEよりも2年早くバンド活動を始めていたのが、同じ事務所・FNCエンターテインメントに所属するFTISLAND(エフティーアイランド)だ。彼らは2007年6月7日にアルバム『Cheerful Sensibility』で韓国デビューした、すでに活動期間は11年というベテラン級のグループなのだ。デビューしてすぐから韓国地上波KBSのドラマの主題歌を担当したりと、良いスタートを切っている。


 2008年には日本へ短期留学、そして日本でインディーズデビュー。CNBLUEとは順番は反対だったが、先輩であるFTISLANDが日本のバンドマーケットに先に入って実体験をしたからこそ、後輩であるCNBLUEは韓国でデビューする前に日本で武者修行をすることを選んだのかもしれない。


 2010年には日本でメジャーデビューが決定、そして『SUMMER SONIC 2010』では大阪・PARK STAGEでパフォーマンスを行った。2011年5月18日に発売したメジャー1stアルバム 『FIVE TREASURE ISLAND』 では、オリコンウィークリーアルバムランキングで初登場1位を獲得し、その年には武道館公演も成功させている。


 FTISLANDといえば、メインボーカルのイ・ホンギの存在は欠かせない。CNBLUEよりもロックテイストが強い彼らだが、そのスタイルを引っ張っているのはホンギと言っても過言ではないだろう。ホンギのパワフルな歌と声、そしてロッカーとしてのスタイルこそが、FTISLANDの顔なのだ。気持ちよく伸びる声は、年齢を重ねてさらに磨きがかかっている。


■4人のメインボーカリストを持つDAY6


 “バンドの事務所といえばFNCエンターテインメント”といったイメージが強かったが、2PMやWonder Girls、GOT7などのアイドルグループを輩出してきたJYPエンターテインメントからデビューしたのがDAY6(デイシックス)だ。彼らは「Congratulations」(1stミニアルバム『The Day』リード曲)で2015年9月に韓国デビューを果たす。


 「JYPが初めて手がけたバンド」ということで注目を浴びたが、デビュー直後にメンバーの1人が脱退し、6人から5人体制になった。事務所がどのようにバンドを育てたらいいのかわからなかったのもあるのかもしれないが、彼らは当初、なかなかブレイクスルーできずにいたように思う。


 2017年には「Every DAY6」という1カ月ごとに音源を発表し、ライブを行うというプロジェクトを実施。1年間を通して地道に活動することで自分たちの音楽を多くの人に浸透させていった。プロジェクトの最後には12カ月間に及んだライブの集大成をソウルのYES24 LIVE HALLで4日間敢行し成功させた。日本では2017年に『SUMMER SONIC 2017』に出演、2018年3月に『If~また逢えたら』でメジャーデビューを果たしている。


 DAY6は4人のメインボーカルがいる、というのが特徴だろう。ハスキーなソンジン、パワフルなYoung K(ヨンケイ)、甘く優しいJAE(ジェイ)、そして耳を離さない特徴的な声のウォンピルと、四者四様の異なったボーカルスタイルに加え、ドウンの正確で力強いドラムは、DAY6にはなくてはならないものだ。そして5人で作り上げるジャンルレスでポジティブなサウンドは、どんなスタイルの曲でも“DAY6色”に染め上げる。


 デビューして3年目の彼らだが、ツアーや音源で経験を積み重ね、どのようなバンドになるのかが楽しみなところだ。


■どんなきっかけでもバンドはバンド
 彼らとインディーズ出身のバンドの違いは、“事務所主導で結成された”というところだろう。メンバー全員が最初からバンドがやりたくて事務所に入所したわけではなく、違う目的を持っていたメンバーも多くいる。バンドを組むことになり楽器を手にし、そこから“バンドマン”としてスタートしたのだ。


 良い音楽は“事務所主導で結成された”というバンドのヒストリーとは関係なく生まれるもの。10代でバンドを始めたり、初めて楽器を手にした、というのは多くの他のバンドも同じだろう。そういう意味でも何も違いはないのだ。むしろ、芸能事務所の厳しいオーディションをくぐり抜けた音楽的才能の持ち主が集まったバンドは、シナジー効果が高いかもしれない。


 今回紹介したバンド以外にも、BTSのプロデューサーであるパン・シヒョクが手がけたIZや、日本進出も果たした実力派・THE ROSEなどの新しいバンドも登場してきている。今後、K-POP界にはどういったバンドが生まれてくるのか、注目していきたい。(西門香央里)