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浜辺美波の“聖子ちゃんカット”は永久保存版 『今日から俺は!!』メリハリきいた福田演出が冴え渡る

2018年12月03日 13:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 軟葉高校で番を張る三橋(賀来賢人)を倒して一旗揚げようと躍起になる新入生ヤンキーたちが多数現れる中、三橋は新入生からアイドルのごとくチヤホヤされて絵に描いたように図に乗る。しかし、理子(清野菜名)からの忠告通りに喧嘩をしないようにしていた三橋の前で、新入生にボコボコにされている佐川(柾木玲弥)を理子が助けたことで人気を奪われ、むくれてしまう三橋。そんな中、ヘルメットを被って金属バットを振り回す新入生が“学校で一番強い”理子を狙って襲いかかってくる。


参考:「奇跡の一枚」から「奇跡の変顔」へ 橋本環奈が『今日から俺は!!』で証明したポテンシャル


 先週の“廃ビル監禁エピソード”のワンシチュエーション性ほどではないにしろ、今週も1人の新入生の暴走を完封するという極めてシンプルなプロットが描き出された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)第8話。おそらくこれが普通のドラマで普通のキャスト陣が普通の演出の上で進めていたのなら、30分枠でも裕に収まるほどのストーリーだったことだろう。けれど福田演出は一筋縄ではいかない。絶妙な間の取り方によって、一切ダレることのない1時間に仕上げているのだ。


 冒頭の教室のシーンでの椋木(ムロツヨシ)の「サクラサク!」からの奇妙すぎる空白であったり、三橋の家に押しかけてきた哲夫(佐藤二朗)と一郎(吉田鋼太郎)&愛美(瀬奈じゅん)とのかなり長尺を割いたアドリブ炸裂のシーンなど、いかにもな“福田節”が際立つシーンの数々(しかも後者では、福田作品に欠かせない佐藤二朗が、完全に共演者に押し負けしてしまうという珍しい光景を目の当たりにできた)。


 その一方で、清野菜名のアクション女優としての本領が発揮される理子のアクションシーン然り、颯爽と現れる京子(橋本環奈)の華麗な蹴りや、そのあとのヘルメット男をノックアウトするまでの伊藤(伊藤健太郎)&京子のイチャイチャシーンであったりと、詰めるべきところは徹底的に詰めるリズムの付け方が冴え渡っていく。そういった前振りがあったからこそ、クライマックスで窮地に陥った理子を助けにやってくる三橋のカッコよすぎる「俺の女に手出すんじゃねえよ」というセリフが映え、そのあとの2人のいつも通りのやり取りにメリハリが生まれるというわけだ。一見何も考えてなさそうで、かなり計算されつくしているように思えてならない。


 そして今回はメインの敵役となった須賀健太と、冒頭で三橋をチヤホヤする女子生徒役を演じた浜辺美波がゲストとして出演。やはり窓辺に立つ聖子ちゃんカットの浜辺美波の姿は永久保存版といってもいいほどに輝かしい。昨年1月期に放送された『スーパーサラリーマン左江内氏』にゲストとして出演して以来の福田組参加となった浜辺だが、そこから瞬く間に人気を高騰させ、今回の超贅沢な登場を果たしたわけだ。奇しくも今回の冒頭、いつもの80年代映像からの最初の入りが昇降口の前で桜が咲いているシーンから始まったわけだが、浜辺が大ブレイクするきっかけとなったといってもいい『君の膵臓をたべたい』のファーストカットも、学校の窓の外に咲いている満開の桜の木だった。はたしてこのリンクは狙ったものなのだろうか、それとも偶然なのか……。(文=久保田和馬)