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『下町ロケット』神田正輝VS尾上菊之助、直接対決の結果は? “悪役”たちの権力争いが激化

2018年12月03日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜劇場『下町ロケット』(TBS系)の「ヤタガラス編」は、とにかく“悪役”が多い。佃航平(阿部寛)の大学時代からの友人、野木博文(森崎博之)の「もうわやだ~」という北海道弁が可愛く思えるくらいに、ドス黒い権力争いが激化していっている。


参考:<a href=”http://www.realsound.jp/movie/2018/12/post-287195.html”>その他画像はこちら</a>


 その構図を端的に説明すれば「帝国重工 VS 帝国重工に復讐心を燃やす者」。次期社長候補・的場俊一(神田正輝)が指揮する帝国重工の新プロジェクト無人農業ロボット「アルファ1」に対抗するは、的場に恨みを持つギアゴースト・伊丹大(尾上菊之助)、ダイダロス・重田登志行(古舘伊知郎)、2人と手を組むキーシンの社長・戸川譲(甲本雅裕)、北堀企画の社長・北堀哲哉(モロ師岡)。伊丹らはアルファ1に先立ち、無人農業ロボット「ダーウィン」を開発。第8話では、岡山県で開催される農業イベント『アグリジャパン』にて「帝国重工・アルファ1 VS 下町トラクター・ダーウィン」と銘打たれ、頂上決戦を迎えることとなった。


 冒頭で“悪役”と明記したが、『下町ロケット』において何を悪とするかは、きっと農業に携わる生産者、トラクターを使用する農家の人々を思い、プロジェクトに向き合っているかが焦点となる。それは第7話で野木が帝国重工の奥沢靖之(福澤朗)に向けて勇気を振り絞って逆らった思いや、佃製作所を離れ米農家を継ぐことを選んだ殿村直弘(立川談春)が第6話で「米なんて……食えりゃあいいの!」と生産者を冒涜する農林業協同組合の吉井浩(古川雄大)を追い払ったことに表れている。とすれば、世間からの悪評を払拭するためだけに事業計画書を「小型・中型トラクター」から日本の農業においてはなかなか使い道のない「大型トラクター」に書き換えた的場、それに従う奥沢は、やはり悪と言える。


 一方の、ダーウィン・プロジェクトの面々はどうだろうか。「ゴースト編」で佃らとともに新潟にある殿村の田んぼ作業を泥だらけになりながら手伝い、生産者の思いを理解した伊丹だったが、重田からの手招きによって、まるでアナキン・スカイウォーカーがダース・ベイダーへと変貌してしまうかのように、すっかりダークサイドへと落ちてしまっている。伊丹、重田、戸川、北堀が帝国重工の悪評を肴に料亭で会食している光景は、絵に描いたような悪巧みの現場だ。


 イベント『アグリジャパン』当日、伊丹らの無人農業ロボット・ダーウィンは「走行性能」「作業性能」「安全性能」において問題なくクリアし、集まった農業関係者の喝采を浴びることに。そして後攻のアルファ1は、その巨大な大型ボディが痛手となり、小回りがきかない、作業が荒いとダーウィンに対して一歩及ばず。「安全性能」に至っては、かかしを轢き倒すというあるまじき事態に。さらには、圃場を出ようとしたアルファ1が坂道で暴走し横転するという、悪評の払拭どころかさらに看板に泥を塗ることになってしまったのだ。


 唖然とし、塞ぎ込む的場らに対して、天を仰ぎガッツポーズを決めるダーウィン・プロジェクトの面々。中でも「勝負ありだ。文字どおり帝国重工は地に落ちた」とつぶやき、薄気味悪い笑みを浮かべる伊丹は強烈だ。新潟と岡山で場所は違えど、かつて田んぼ作業を通して生産者に思いを馳せていた伊丹は、岡山の田んぼの真ん中でトラクターが横転するのを見て高笑いしている。きっと伊丹の目には、ダーウィンの先にいる生産者は見えておらず、そこにあるのは復讐の念のみ。やはり伊丹は、モノ作りの精神を忘れてしまった悪に違いないのだ。


 第9話では、アルファ1がなぜ暴走したのかが問題に上がり、原因究明が求められる。そこで残酷にも帝国重工から尻拭いをさせられるのが、開発コードを組んでいる野木。犠牲になる親友に佃、財前道生(吉川晃司)らがどのような行動に出るかが見どころになりそうだ。 (文=渡辺彰浩)