現状の仕事環境や収入に満足できない場合、人はしばしば転職を考えるものである。より良い環境の職場に移ることができれば、仕事のストレスも減る。それなら転職をしないのは損だ。
だけど、みんながみんな、転職をしたからと言って待遇が改善されたと感じるわけでもないらしい。(文:松本ミゾレ)
「Uターン転職したが、職場がギスギスしていて完全に失敗。また引っ越ししなきゃならん」
先日5ちゃんねるで、「転職失敗した。苦しい part13」なるスレッドを見つけた。興味本位で開いてみると、新しい職場に希望を抱いて入社したものの、さほど境遇が改善しなかった旨の書き込みが無数にある。転職=より良い労働条件の確保、というわけではないらしい。
せっかくなのでまずはスレッドの中から、転職に失敗した人々の書き込みを紹介したい。
「転職したものの、社員のスキルレベル高くてついていけない。ミーティングなど専門用語ばかりで、何の話かさっぱり。同じ業界、職種でも、会社のやり方、ビジョン、社員レベルって全然違うもんなんだって実感してる」
「最初の職場辞めなきゃ良かった……。製造業していた頃が一番稼げてたし気持ちにも余裕があったのに」
「わざわざ転職エージェント使って未経験でも研修厚い所探して見たのに蓋を開けたら課題をぽーんと渡されるだけ。研修厚いのは新卒だけなんだって。エージェントから間違えて伝えられたみたい。入社して数日だけど課題わからなすぎて無能判定押されてる」
「地元にUターン転職したが、職場がギスギスしていて完全に失敗した。前の会社の同僚は大多数が戻ってきてほしいと言ってくれているが、県外だからまた引っ越ししなきゃならん」
「子供と嫁の事考えて転職したけど失敗した。今までのスキルは役に立たない業務させられるわ、業務内容が何のスキルも育たないわで将来が不安だわ 」
このように、転職をしたことで、かえって労働環境が悪化してしまったという人々の声は目立つ。Uターンして地元に腰を据えようと思ったらろくでもない職場に入ってしまったという声なんかは可哀想だけど、中にはしっかりとした下準備があれば防げた悲劇もある。
行動する前に、自分のスキルと職場を冷静に見られているか入念にチェックを
転職をするときって勇気がいるものだ。新しい職場で上手くやれるのか。そして待遇は本当に良くなるのか。蓋を開けてみないとわからない。
ただ、転職を成功させるための確度を上げる動きをしないまま転職をし、「失敗した~」と言ってしまう人も、中にはいるんじゃなかろうか。先ほど引用した書き込みの中にもそれらしい声があったけど、やっぱり転職をするなら、待遇面についてはキチンと考えてみる必要があるだろう。
考える内容の中に、2つほど確実に意識しておくべき条件があると感じる。第一に、転職希望先で自分のスキルが通用するかどうか。第二に、転職先を冷静に評価できているかどうか、だ。
スキルが伴わないのに、高収入の文字に押されて入社しても(まあ、普通は面接で落ちちゃうけど)、実際に仕事をする段階になったら周囲に迷惑をかけるだけ。これでは話にならない。また、転職先の評価についても、事前に調べておかなければ「思ってたのと違う~」と後悔しかねない。スマホなりパソコンなりで、細かな部分まで評判を調べ上げておくのは自衛になる。
それと、そもそもその職種・業種全体が先細りではないかを知ることも大事かもしれない。もしも斜陽気味だったら、それこそ業界全体でどこに転職しても意味がなかったりするので、全く別の職種を目指すほうが効率が良かったりもするだろうし。
できれば転職なんて、あんな心身を疲れさせる作業はしたくないものだ。だけど、どうしても転職をしなければやっていけないと言うのであれば、ガンガンするしかない。その上で、失敗をしないように、キチンと目的の条件に近しい職場を選んで入社することが大事になるというだけの話なんだけど、なかなか上手く行ってない人も多いよね……。