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がんと闘う13歳少年に「伝染するから」と差別した教師(中国)

2018年12月01日 17:32  Techinsight Japan

Techinsight Japan

他の生徒から離され、教室の後ろにひとりで座る少年(画像は『shanghaiist 2018年11月27日付「Boy who beat cancer made to sit alone at back of class by teacher who said he was contagious」』のスクリーンショット)
闘病生活をしていた少年に労りの言葉をかけ優しく接するどころか、教室で孤立させ、試験まで受けさせなかった小学校教師のニュースが中国メディア『The Beijing News』で報じられた。この教師は他の生徒らに「病気が伝染する」とまで言い、この少年を離れた席に座らせていたという。『South China Morning Post』『shanghaiist』などでも伝えている。

中国・福建省に住む13歳の少年は、1年前に非ホジキンリンパ腫と診断されて以来、化学療法を受け闘病生活を送っていた。少年は化学療法を受ける間、両親の近くにいられるように今年9月、泉州市にある恵安県小学校へと転入したばかりだった。

幸いにも治療は成功し、少年の病は寛解となった。ところが転入先の学校で中国語教師が少年に対して心無い対応をし続けたのだ。教師は少年の病気が伝染すると言い、少年を他の生徒たちから1メートル以上離れさせて教室の後ろにひとりで座らせた。また、他の生徒と一緒に試験を受けさせず、少年は他の生徒らが試験中の時もひとりで静かに待っているよう命じられ、3つの試験を受けることができなかった。ちなみに少年は、闘病で1年間休学していたにもかかわらず、算数の成績は非常に良く試験では97.5点を得ていた。

しかし中国語教師の差別により、少年は中間期の中国語のテスト用紙ももらえなかったうえ成績もつかず、少年が成績表を持って帰ってこなかったことを不審に思った両親が尋ねると、少年は教師から受けている侮辱や差別のことを打ち明けた。心配をかけたくない気持ちから、少年は両親にも言えずにいたという。

事態が発覚し、学校長は調査を開始した。また同市恵安県教育局も調査を行い、少年を差別することなく他の生徒らと同じように試験を受けさせるよう学校側に要求した。少年の父チョウ・ションギンさん(Zhou Xiongying)は、他の生徒らから離され1人で教室の後ろに座る息子の姿を写真や動画に収め、中国のソーシャルメディア『Weibo(ウェイボー)』に投稿、このように怒りを吐露した。

「息子はみんなが試験を受けている45分間、ただじっと座って待たされていたのです。こんな悲しいことってあるのでしょうか。」

この出来事が拡散すると、ネット上ではこの教師に対して「教師に常識がないというだけでなく、少年が闘病後という気持ちを理解する思いやりが微塵も見受けられない」「こんな奴、教師には向いていない」などといった非難の声が相次いだ。

地元メディアによると現在、この教師は解雇されたとのことだ。なお非ホジキンリンパ腫は、免疫システムの一部であるリンパ系組織やリンパ外臓器(節外臓器)から発生するがんであり、伝染することはない。

画像は『shanghaiist 2018年11月27日付「Boy who beat cancer made to sit alone at back of class by teacher who said he was contagious」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)