2018年12月01日 10:32 弁護士ドットコム
パートナー(配偶者)に、今後もし不貞行為があった場合、慰謝料を支払うという合意書を書いてもらいたいーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられていた。
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相談者は、それまでの不貞行為については不問に付し、これから再度、浮気をした場合のみ慰謝料を支払うことを約束させたいと考えています。
このように、「次に不倫をしたら金銭を支払う」という契約は可能なのでしょうか。また、契約が認められるとして金額はどれくらいまでなら認められるのでしょうか。伊藤真樹子弁護士に聞きました。
ーー合意書を作ったところで、法的には有効なのでしょうか
「夫婦の間で、『次に不倫をしたら金銭を支払う』という約束(契約)をすることは法的には可能です。
夫婦は、法律上、お互いに貞操義務を負うとされています。この貞操義務については、明文の規定はありませんが、民法において不貞行為が離婚原因とされていることから、法律上の義務であると解されています。
従って、この貞操義務に違反した場合、違反した側は不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになりますので、事前に合意しておくことも基本的には有効です」
ーー金額については、どうでしょうか
「金額があまりに高額に過ぎる場合には、その約束が無効とされる可能性があります。
具体的な金額としては、一律の線引きがあるわけではありませんが、一般的に不貞行為を原因とする慰謝料の相場は100万円から300万円程度です。そこから余りにかけ離れた金額の場合は無効とされるおそれがあります」
ーー今回の相談者は、過去の不貞については不問に付そうとしています。慰謝料の請求について、ある時点からのみを対象とすることは可能なのでしょうか
「合意書の効力は、基本的に、当事者が実際にどのように意図したかによります。 したがって、今までの不貞行為については一切不問に付したうえで、今後のことについてのみ合意することも可能です。あるいは、それまでの不貞行為について慰謝料の支払いをひとまず猶予し、再び同じようなことがあった場合にはそれまでの不貞行為についても合わせて慰謝料を支払うという形で合意することも可能です。
後にトラブルにならないよう、どちらの趣旨であるのか、合意書の文言として明確にしておくべきでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
伊藤 真樹子(いとう・まきこ)弁護士
2008年に弁護士登録後、離婚や相続などの家事事件、債権回収などの民事事件を500件以上取り扱う。「何かあったらすぐに相談に行ける、身近な法律事務所」をモットーに法律事務所を運営。
事務所名:仙川総合法律事務所
事務所URL:http://sengawa-law.jp/