ヒュンダイのハイパフォーマンス部門である“N”ブランドのトップ、アルバート・ビアマン氏は、同社のDPiプログラム参入が将来のオプションのひとつであると認めた。
北米スポーツカーシリーズの最高峰、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの最上位カテゴリーに位置づけられるDPiは現在、2016年から2連覇中のキャデラックをはじめ、ニッサン、マツダ、アキュラの4メーカーが参戦している。
そのDPiクラスに2020年から参入すると噂されるヒュンダイは今月、ブライアン・ハート・オートスポートとタッグを組み、IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ・シリーズに新型TCRカー『ヒュンダイ・ヴェロスターN TCR』を送り込むことを発表。北米市場をターゲットに、モータースポーツを通してブランドの周知拡大を目指している。
ビアマン氏は「DPiはヒュンダイがしばらくの間探してきたものだ」とSportscar365に語った。
「話し合いはいつも行われている。我々は現在、私達のNブランド事業部とヘッドクォーター、そしてモータースポーツ部門を持っている。そのなかでまずはTCRで結果を出すことができた」
「その後、我々はモータースポーツチームを作り、つねにさまざまな選択肢の中から最良となるものを検討している。DPiはその中のオプションのひとつであり、まだ決定したことではないんだ」
また、ビアマン氏は仮にDPiに参戦する場合、「そのメーカーエンブレムは必ずしもヒュンダイとは限らない」と言い、「高級ブランドのジェネシス、または起亜のバッジをつけることもありえる」と続けた。
「レースへの扉はまだ開かれている。我々はあらゆるレースを見ながら、将来どのように進むべきかを決めることになるだろう」
「現状、ヒュンダイブランドは順調だ。とてもいい状態にあると言っていいだろう。同じように他のブランドも“何か”を考え出す必要がある」
■ヒュンダイ、燃料電池車でのル・マン24時間参戦も?
北米最高峰のスポーツカーレースへ参入を否定しなかったNブランドのボスは、ヒュンダイがACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟が推進している、水素技術を取り入れた新カテゴリーのテクニカルワーキンググループに参加していることを明かした。
ACOはは2024年を目処にル・マン24時間レースに二酸化炭素を排出しない“ゼロエミッション”カテゴリーをスタートさせる目標を掲げ、この会合にはヒュンダイのほかBMWなどが参加しているという。
「水素技術に取り組んでいる技術作業部会があり、我々はその一端を担っている」とビアマン氏。
「我々は市販燃料電池車『ネキソ(NEXO)』を製造しており、水素企業の大手のひとつであると自負している。水素に関する最新技術を持つ我々にとってこのカテゴリーは興味深いものになるかもしれないんだ」
なお、ビアマン氏によるとヒュンダイが2020年からWEC世界耐久選手権/ル・マン24時間で採用される予定の“ハイパーカー規定”に参戦することはないという。
その理由は参戦コストにあるといい、「(ハイパーカーで)ル・マンに出場するのは、あまりにも高価だと考えている」と述べている。