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柴咲コウが初の母親役、角田光代の小説『坂の途中の家』ドラマ化 来春放送

2018年11月29日 19:11  CINRA.NET

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『連続ドラマW 坂の途中の家』
角田光代の小説『坂の途中の家』がドラマ化。2019年春にWOWOWプライムで放送される。

同作の主人公は、3歳の娘・文香、夫の3人で平穏な日々を送っていた山咲里沙子。専業主婦が生後8か月の娘を虐待死させた事件の裁判に補充裁判員として参加することになった里沙子が初めは嫌悪感を抱いていたが、裁判を通して自らの人生と被告の人生を重ねあわせる中で、やがて自身の心に眠っていた混沌とした感情に惑わされていくというあらすじだ。

無意識に娘の子育てにストレスを感じていた専業主婦の里沙子役に柴咲コウがキャスティング。自身初となる母親役を演じる柴咲が連続ドラマで主演を務めるのはNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』以来、約2年ぶりとなる。脚本は角田光代原作のドラマ『紙の月』や現在公開中の映画『人魚の眠る家』の脚本を手掛けた篠崎絵里子が担当した。監督は『おじいちゃん、死んじゃったって。』などの森ガキ侑大。

同作ではWOWOWとソニーの新たな4Kプロジェクトとしてラージフォーマットでの全編4KHDR製作という日本では初の試みに挑戦。現在放送中の『連続ドラマW コールドケース2~真実の扉~』で8K撮影に挑んだ山田康介撮影監督がソニーの最新カメラ「VENICE」を使用して撮影した。

柴咲は「台本を読んだ時、衝撃的に面白く、改めて“普通”とは何だろうということを考えさせられました。主人公である山咲里沙子の役柄と私自身の立場は全く違うとはいえ、違う立場であることを色々活用出来たら、と思っています」、角田は「私は篠崎さんの脚本が大好きなので、どんなドラマになっているか楽しみです。小説では描かれていない部分・描けなかった部分が、いちばん期待してしまうポイントです。柴咲コウさんは芯のとても強い女性というイメージがあります。私の書いた里沙子はすごく弱いので、きっとこの里沙子を柴咲さんが強くしていってくれるに違いないと思っています」とそれぞれコメント。

また篠崎は「凜とした強さと壊れそうな繊細さを併せ持つ柴咲コウさんをはじめ、魅力的なキャスト・スタッフのおかげで極上のエンタテインメントに仕上がりました。恐れずにまず一話、ご覧いただけたら幸せです」、森ガキ監督は「今回、この角田光代さん原作の『坂の途中の家』を演出するにあたり興奮と緊張が交互におしよせてきます。この今まで描かれてこなかった社会的問題を鋭く描かれている中、自分の経験値だけで演出できるのか日々葛藤でした」と語っている。

■柴咲コウのコメント
台本を読んだ時、衝撃的に面白く、改めて“普通”とは何だろうということを考えさせられました。主人公である山咲里沙子の役柄と私自身の立場は全く違うとはいえ、違う立場であることを色々活用出来たら、と思っています。
立場が違うからこそ、母親役のリアルさや真実味を大切にしたくて、周りの母親たちに話を聞いたり、また無意識に日常生活の中にある母親たちの苦悩を感じるようになりました。表面的な幸せではなく、その裏側にある計り知れない家族や子育てと向き合う姿をしっかり表現出来たらと思います。
日常をテーマにしているドラマでも、ここまで深く踏み込んで描いた作品はなかなかないと思います。そういったテーマや描写を避けることなく、真っ向から丁寧に描いている作品です。生きることは綺麗事だけではないし、公私があって、公である社会との繋がりと逆に、その裏側にある日常生活の積重ねの中で人間というものが形成されていると思います。無意識に生きているけれども、その日々の営みが大切なんだと痛感させられました。多様性を大切にと言われていても、生き辛く狭い世の中だと感じる瞬間がありますが、そういった社会を変えるには一人一人の意識が大切なので、この作品がそのきっかけになることを願っています。

■角田光代のコメント
舞台が家庭と法廷で、動きが少ないので、映像化はむずかしいだろうと思っていました。
なので決まったときは、びっくりしました。
私は篠崎さんの脚本が大好きなので、どんなドラマになっているか楽しみです。小説では描かれていない部分・描けなかった部分が、いちばん期待してしまうポイントです。
柴咲コウさんは芯のとても強い女性というイメージがあります。私の書いた里沙子はすごく弱いので、きっとこの里沙子を柴咲さんが強くしていってくれるに違いないと思っています。

■篠崎絵里子のコメント
角田光代さんが紡いだこの物語の終盤に、ある情景が描かれています。そこにあったのは『子育て』という密室でもがいている全ての母親への救いでした。小さな命を預かる重圧。善良で無理解な助言。弱った心を刺す正しい言葉。閉塞感。劣等感。自責。子供を愛するが故の母親の苦しみには果てがありません。
彼女たちに必要なのはなにか、夫は、家族は、どう向き合うのか、答えを探す旅です。重いです。けれど、凜とした強さと壊れそうな繊細さを併せ持つ柴咲コウさんをはじめ、魅力的なキャスト・スタッフのおかげで極上のエンタテインメントに仕上がりました。恐れずにまず一話、ご覧いただけたら幸せです。

■森ガキ侑大のコメント
今回、この角田光代さん原作の「坂の途中の家」を演出するにあたり興奮と緊張が交互におしよせてきます。この今まで描かれてこなかった社会的問題を鋭く描かれている中、自分の経験値だけで演出できるのか日々葛藤でした。
しかし、多くの母親に取材を重ねていっている中、自然とその母親たちに背中をおされていました。
いま、男である自分がこの社会的テーマを演出する意味がある。
そう信じて準備と覚悟ができた瞬間、脚本の篠崎さんがとても繊細に、そして大胆に登場人物の葛藤を表現してくれました。
あとは、自分がスタッフ全員でこの物語を丁寧に丁寧につむいでいき、世の中の母親が子育てに悩み、苦しみ、もがいている現実に正面からぶつかりたいと思いました。
そして、素晴らしすぎるキャストの方々とこの作品を一緒につくれる喜びをおさえきる事ができません。
必ず素晴らしい作品にして世の母親たちを救う事ができればと。