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五木寛之、社会に出たら「周りが悪いと思って生きるくらいで丁度。顔に出さなければ良い」大学生にアドバイス

2018年11月29日 16:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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11月25日の『新世代が解く!ニッポンのジレンマ特別編』(Eテレ系)では、直木賞作家の五木寛之さんが働き方について自身の考えを明かした。番組中、就職活動に不安を抱える大学3年生の男性から「やりたい仕事は見つかるのか」と質問されると、五木さんは

「生きてくってことは苦しいことのほうが多いと思います。本当に就職してみたら分かるだろうけど、『なんでこんなくだらないことをやらなきゃいけないんだ?』『なんでこんなくだらない上司と付き合わなきゃいけないのか?』って、ありとあらゆることが続々出てきます」

と回答。やりたい仕事が見つかるかという悩みに限らず、働きだしてからも悩みは尽きないものだと指摘した。(文:石川祐介)

「上司とは馬鹿馬鹿しく、組織とは非合理なもの」


ただ、ロシアの作家マクシム・ゴーリキーの言葉「人生っていうのは恐ろしく酷いもんだ。本当に酷い。だけど、自分で投げ出すほど酷くはない」を引用し、辛いことの連続でも生き抜くことはできると話した。

学生との対話は続く。「組織に所属すべきかどうか」を聞かれると、五木さんは「その人が辛抱強い人で、『石の上にも三年』っていう考えでやってる人もいるかも知れないし、『こんなアホらしいところに勤めてられるか』って思う人もいる」と、場合によると前置きした上で

「とりあえず、上司っていうのは馬鹿馬鹿しいもんですよ。それから、組織っていうのは本当に非合理なものです。その中で、『こういうものだ』って頑張っていくか。『いつかは自分も上に立とう』ってやっていく人もいるし、横に移動して『ますます酷い』なんていう絶望に陥るし人もいるだろうし」

とアドバイスした。社会は楽なものじゃない、という覚悟は持ちながらも、開き直って生きることを勧めている。

「適当に話を合わせて内心『何言ってんだ』って思うくらいでやっていける」

さらに学生は、「馬鹿馬鹿しさに気づかずに、思いつめてしまう人は多い」ため、開き直って生きていくことは難しいのではとも質問する。社会人になると、他責は望ましくないと言われる機会が学生の時より増える。それでも五木さんは「自分を責めるのは止めたほうが良い。周りが悪いと思ったほうが良い」と諭す。

「『俺は間違ってない』『周りが悪い』っていう風に思って、それを表に出すことはない。そう思ってても顔に出すようだと青いというか幼い」
「『なんだ、このアホらしい話は』って思っても、『そうですか。僕も昨日は日本シリーズを必死に見てました』って適当に合わせて、内心では『何言ってんだ、こいつは』って思ってるくらいで丁度やっていける」

合わせて、「常に最低の基準から出発するっていうことを考えておくと、『まぁ許せるか』って思える」と、周囲に期待を持ちすぎないことの重要性も語った。