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「手術後に障害」 病院に3億円以上の請求した女性、元気な姿をキャッチされる(英)

2018年11月28日 21:02  Techinsight Japan

Techinsight Japan

障害を負わされたとして賠償金を請求するも、旅先で元気な姿を捉えられた女性(画像は『The Sun 2018年11月26日付「OP ‘VICTIM’ AT HEN DO Mum in £2.5m claim against NHS for leaving her ‘profoundly disabled’ faces jail after being caught partying in Ibiza」(Credit: PAUL KEOGH)』のスクリーンショット)
失禁の問題を抱えていた女性が、手術後に耐え難い痛みに襲われ人生を大きく狂わされたとして、NHS(英国民保健サービス)を相手に多額の損害賠償請求を行っていた。しかしその女性が旅先でパーティーに参加する姿や、杖無しで歩く姿が捉えられ、裁判所でこれらの証拠を突きつけられた女性は現在、実刑に直面している。『The Sun』『Express Digest』などが伝えた。

英ドーセット州プールに住む2児の母レズリー・エルダーさん(50歳)は2010年12月、当時住んでいたウォリックシャー州にあるヌニートンのジョージ・エリオット病院NHS信託にて失禁問題を解決するため、膣内にメッシュを埋め込むインプラント手術を行った。

「シンプルで素早いインプラント手術をすれば、症状が改善されて人生が変わる」と婦人科の医師に促され手術を受けたものの、その後レズリーさんは耐え難い痛みに襲われた。悶えるほどの痛みと大きく腫れ上がった下腹部に異常を察してすぐに病院で診察を受けると、メッシュが膣を裂いて血腫ができていることがわかった。以降も幾度となく感染症に罹り、レズリーさんの人生は医師の言葉通り大きく変わってしまった。昨年8月のメディアの取材では、レズリーさんは涙ながらにこのように語っていた。

「今の私は地獄にいるのと同じです。婦人科の治療を受ければ、再び快活な人生が取り戻せると思っていました。ですがメッシュインプラントは慢性的な痛みを引き起こし、何度も病院を行き来する生活を強いられています。歩行も困難になったために出かけることもままならず、仕事もできません。夫婦関係もこれが原因で破綻し、離婚しました。もう以前の私ではなく、女ではなくなったようにも思えて、うつやPTSD(心的外傷後ストレス障害)も抱えるようになりました。希望などなく、死んだほうがマシと思うことさえあります。13回もの手術を繰り返してメッシュを除去しようとしましたが、深く埋め込まれてしまっているのでどうにもなりません。メッシュはまだ恥骨にへばりついたままになっています。」

レズリーさんは、その後「Sling the Mesh(スリング・ザ・メッシュ)」というキャンペーンにも参加し、メッシュインプラント被害を訴えるとともに世間に注意喚起を促していた。また、レズリーさんは更に賠償金を受け取る権利があると主張、「インプラント手術が人生を台無しにし重度の障害を負った。これまでの治療に100万ポンド(約1億4,500万円)もの費用がかかった」として、250万ポンド(約3億6,400万円)もの損害賠償金請求を病院側に訴え出ていた。その結果、昨年2月にレズリーさんは12万ポンド(約1,740万円)の損害賠償金を手にした。

ところが現在、レズリーさんの訴えは虚偽であると病院側が反論している。というのも高額な賠償金を訴えるには見合わないレズリーさんの姿が、複数の写真や監視カメラの映像で明らかになったのだ。イビサ島で行われた娘タニアさんのヘン・ドゥ(女性の独身最後のパーティー)では、真夜中を過ぎてもクラブで踊るレズリーさんの姿があった。さらに孫を抱えて買い物する姿や掃除機をかける姿、犬を散歩させている姿やショッピングに出かける姿など、いずれも裁判所に現れた時に使用していた杖を持っていなかった。

このことから、訴えられていたジョージ・エリオット病院NHS信託はロンドンの高等裁判所で、レズリーさんに法廷侮辱罪で最大2年の懲役刑を科するよう申請。NHS法廷弁護士は、レズリーさんが2012年、遅くても2015年までには症状が改善していたのではないかと主張しており、レズリーさんが大金を得た後に仕事をしていないことにも触れている。しかし、レズリーさんの弁護人は「申し立ては嘘ではない」と反論している。次回のヒアリングは1月の予定だが、訴えから一転し、現在レズリーさんは実刑に直面している。

英国のNHSでは、出産後の骨盤臓器脱(膀胱、子宮、直腸など骨盤の中の臓器が膣を通じて落ちてきてしまう症状)や失禁を改善させるために、特定の飲料水用ボトルと同じ素材を使用したポリプロピレンというプラスチック製のメッシュを膣内に埋め込んで再建する手術をオファーしている。しかし、手術を受けた患者の多くから激しい痛みがあるという苦情が相次ぎ、NHSや異なる複数のインプラント製造元が訴えられるという事態がたびたび起こっている。

画像は『The Sun 2018年11月26日付「OP ‘VICTIM’ AT HEN DO Mum in £2.5m claim against NHS for leaving her ‘profoundly disabled’ faces jail after being caught partying in Ibiza」(Credit: PAUL KEOGH)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)