2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権に新開発の『シュコダ・ファビアRXスーパーカー』を投入する計画を発表しているリトアニアのESモータースポーツは、その世界選手権トップカテゴリーへのデビューに向け、本格的なテストプログラムを開始した。
ESモータースポーツは2度のダカールラリー・ウイナーであり、元WRC世界ラリー選手権、PWRC(プロダクションカー選手権)王者でもあるナッサー・アル-アティヤーと、ヒュンダイ・モータースポーツでWRC世界ラリー選手権の開発ドライバーも務めるオランダ人、ケビン・アブリングがステアリングを握り、先の9月にも本格的な初期テストをスタートさせた。
その際には、ほぼシェイクダウンという状況にも関わらず、WorldRXのシリーズ戦も開催されるラトビア・リガのビケルニエキ・モータースポーツ・ベースのラップタイムで、現在のWorldRXカテゴリー参戦組とそん色ない速さをみせるなど、順調な開発進捗をみせていた。
またこの数週ではアブリングがドライブする形で、チェコ共和国のターマック路でテストを実施し、主に冷却面とブレーキシステムのパッケージ開発を進めてきた。
すでに500km以上のテストマイレージをノートラブルでクリアしたこの新型RXスーパーカーは、シュコダのR5規定ラリーカーのシャシーをベースに、フランス・オレカ製のラリークロス向け汎用エンジンを搭載。そのプリペアをフランスのヴェゾン・スポールが担当している。
エルネスト・スタポンカス代表率いるESモータースポーツは、ここ数年FIA欧州選手権となるユーロRXのFFクラス、Super1600にフォルクスワーゲン・ポロで参戦。代表自らがステアリングを握り経験を積んできた。
その正統なステップアップとして、このトップカテゴリーへの挑戦を5カ年計画で進めている同チームだが、この新型『シュコダ・ファビアRXスーパーカー』のテストと開発作業の進捗に関して「ここまでの順調さは予想外で、とても満足している」と語るのは、ESモータースポーツのチームマネージャーを務めるラムナス・フェティングス。
「我々はこの数週間に集中的にマイレージを稼ぐ予定で、このオフシーズンを通じて数多くの開発テストを行う計画だ。その過程で、来季の世界選手権デビューに向け、まともに戦える競争力を養うことができればと考えている」
「そのため、なるべくこのニューマシンを異なる環境やコンディションで走らせ、データを収集したいと思っている」
またチームのフロントメンバーも徐々に明らかになっており、母体となるESモータースポーツとその代表のスタポンカスに加え、ヴェゾン・スポールのティエリー・ヴィアルド、そしてイギリスのラリー系ファクトリーであるオートテック・モータースポーツのケン・スキッドモアがパートナーとして参画している。
このリトアニアのチームはまだ来季レギュラードライバーの契約を明らかにしていないが、先のフェティングスによれば「ラリークロスファンは来季のWorldRXでニューフェイスを目にすることになるだろう」と語っており、テストドライバーの顔ぶれを見ても分かるとおり、これまでのWorldRXレギュラー以外のドライバー起用を匂わせている。
チームは今後もテストプログラムと開発作業を続け、2019年4月5~6日のアブダビ、ヤス・マリーナ・サーキットでのWorldRX開幕戦のグリッドに、2台の『シュコダ・ファビアRXスーパーカー』を並べる計画だ。