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7年ぶりの新ブランド「マスターレシピ」から探る、フランフランの新展開

2018年11月28日 10:33  Fashionsnap.com

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京都に出店した新ブランド「マスターレシピ」1号店 Image by: FASHIONSNAP.COM / Francfranc
祇園の一軒家に掲げられた白い暖簾は、フランフラン(Francfranc)が展開する「マスターレシピ(Master Recipe)」の目印。事業の縮小とブランド1本化を進めてきた同社が、新たな形でスタートさせたブランドだ。高島郁夫社長に、約7年ぶりとなった新ブランドの狙いを聞いた。

 マスターレシピは、主軸ブランド「フランフラン(Francfranc)」の新商品ラインとして2017年9月に誕生。有田焼や信楽焼の器、今治産のオーガニックタオル、フランス産のルームフレグランスやキャンドルといった、素材や人、技法、歴史、産地に裏付けされたストーリーのあるプロダクトを展開している。
 高島社長は、かねてから伝統工芸に着目。産地や展示会を巡る中で「伝統工芸はアレンジを加えないと物の素晴らしさや魅力が理解されにくい」と感じたという。マスターレシピには、衰退傾向にある伝統工芸を"現代工芸"に変えていくという思いを込めた。高島社長も開発に携わり、同社の審美眼によるセレクトとアイデアで独自性を追求している。フランフランは商品カテゴリー数が多く量産型で、マスターレシピは在庫数が少ないことから商品が埋もれないようにという目的もあり、新ブランドとして独立させた。
 ブランド化および直営1号店の出店を機に、デビュー当初の120~140アイテムだった展開商品数は550アイテムに拡充。日本国内26地域に加えてヨーロッパとアジアを中心とした世界20ヶ国からアイテムを編集し、京都の1号店ではコラボレーションによるオリジナル商品とセレクト商品を揃え、一点物のアイテムも用意している。供給が追いつけば、1号店に続き3~5店舗の出店を前向きに検討しているという。
 同社が新ブランドを立ち上げたのは、2011年2月から2016年4月まで展開していた「ダブルティー(WTW)」以来。しかし、約5年前まで推進していたブランドの多角化とは何が異なるのか。「以前は"フランフランじゃないもの"で事業を拡大していたが、マスターレシピはあくまでも主軸ブランドのフランフランがベースにある」。ブランドを一本化したことで、これまで蓄積してきたリソースから新しい可能性が見えたという。今後もフランフランをベースに取り組んでいく姿勢は崩さず、「商品を表現する上で必要があれば、また新たなブランドを立ち上げる可能性はある」と説明する。
 インテリア・雑貨業界では近年、シェアリングサービスを提供する企業が増えているが、高島社長も「頭の中に構想はある」と話す。新品ではなく中古品にリメイクや加工を加えたり、組み合わせを提案するなど同社ならではのアレンジを加え「新品にはない魅力や付加価値を打ち出していきたい」と考えを示している。