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今年のベストゲームはどれ? 『The Game Awards 2018』受賞作を大予想

2018年11月27日 08:22  リアルサウンド

リアルサウンド

 先日、数あるゲームアワードの中でも権威のある『The Game Awards 2018』のノミネート作品が発表された。受賞作の発表は日本時間で12月7日に行われる予定だ。


 本稿ではゲームライターの脳間寺院が、『The Game Awards 2018』の“Game of the Year”ほか2部門の受賞作を予想する。


参考:【太ってみた】『レッド・デッド・リデンプション2』で限界まで太ったら戦闘力5のおっさんになった


“Game of the Year” は『Marvel’s Spider-Man』が本命


 まずは今年いちばんのゲーム“GOTY(以下Game of the Year)”の話をしよう。今年のノミネート作は以下のラインナップとなった。


・『アサシン クリード オデッセイ』
・『Celeste』
・『ゴッド・オブ・ウォー』
・『Marvel’s Spider-Man』
・『モンスターハンター:ワールド』
・『レッド・デッド・リデンプション2』


 2017年のGOTYは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』一色だったが、今年は昨年にも増して大作続きで予想が難しくなっている。しかし強いて予想するならば、こんな感じだろうか。


本命『Marvel’s Spider-Man』
対抗『レッド・デッド・リデンプション2』
大穴『Celeste』


 発売から3日で7億2,500万ドル(約820億円)を売り上げた『レッド・デッド・リデンプション2(以下RDR2)』の勢いはすさまじい。だが同時に『RDR2』はライトなユーザーには受け入れがたいほどクセのある作品だ。『RDR2』は、あらゆる動作にリアリティがあるものの、あらゆる動作がモタモタしている。『The Game Awards 2018』で8部門にノミネートされた玄人好みのエンタメ大作は、どこまで躍進するのだろうか。


 一方ディープな西部劇体験ゲームである『RDR2』とは対極にあるのが、誰でも気持ちよくヒーローになれる『Marvel’s Spider-Man』だ。ニューヨークの摩天楼をスイングするのも、犯罪者の集団を懲らしめるのもシンプルな操作系で迷いなく、かつ自由に行える本作は今年のGOTYの本命馬ではないだろうか。『RDR2』は人を選ぶゲームだが、『Marvel’s Spider-Man』は万人向けの本格アクションだ。


 そして2018年頭にリリースされ、主に海外のゲームメディアで大絶賛を受けたインディゲーム『Celeste』の受賞も頭の片隅に入れておくべきだろう。


 シンプルかつ高難易度な2Dアクション『Celeste』は、危険な冬山をジャンプとしがみつきで登っていく“登山ゲー”だ。1ステージ辺り50~100回は死んで当たり前という難易度の高さとは裏腹に、無制限コンティニューが可能なため、かつての『ロックマン』ほどストレスを感じないのが素晴らしい。


 ピクセルアート、横スクロールアクション、高難易度と現在のインディーゲームシーンでは定番となりつつある要素だ。そして、それらの要素が高い水準で組み合わされた『Celeste』は、大作オープンワールドゲームを押さえて受賞してもおかしくない。


続いてゲームにおける脚本賞“Best Narrative” の受賞作を予想


・『Detroit: Become Human』
・『ゴッド・オブ・ウォー』
・『ライフイズストレンジ2:エピソード1』
・『Marvel’s Spider-Man』
・『レッド・デッド・リデンプション2』


 文字通り最もナラティブなゲームに与えられる“Best Narrative”は、アカデミー賞で言うところの脚本賞と似ているようで少し違う。脚本は英語で“Screenplay”だが、ナラティブ(“Narrative”)は脚本にとどまらず、より抽象的な意味での“語り”を意味する。つまり“Best Narrative”とは、単にストーリーが優れているだけではなく、より広義の意味で物語ることに優れたゲームが対象になる。


 そう考えると、オープニングからエンディングまで1度もカットがなく“全編ノーカット”を貫いた『ゴッド・オブ・ウォー 』は、徹底してナラティブなゲームであることにこだわっている。『ゴッド・オブ・ウォー 』の撮影監督ドーリ・アラージは、全編ノーカット演出について“映像をひとつなぎにすることでドキュメンタリー要素が生まれ、キャラクターへの感情移入がスムーズにできる”と語った(動画より)。


 また、『Detroit: Become Human』に『ライフイズストレンジ2:エピソード1』という2作の素晴らしいアドベンチャーゲームもレースに加わって、今年のベストナラティブ賞は激戦の様相を呈している。


 筆者の受賞予想は『ゴッド・オブ・ウォー』。やはり“全編ノーカット”のインパクトは強い。


続いて美術賞“Best Art Direction”を予想!


 続いてアートディレクション賞のノミネート作を紹介しよう。


・『アサシン クリード オデッセイ』
・『ゴッド・オブ・ウォー』
・『オクトパストラベラー』
・『レッド・デッド・リデンプション2』
・『Return of the Obra Dinn』


 日本からは“HD-2D”のグラフィックでピクセルアートの味と美しいグラフィックを両立した『オクトパストラベラー』がノミネート。


 そして、この部門では徹底した歴史考証で古代ギリシャ世界を再現しきった『アサシン クリード オデッセイ』も忘れてはいけない。筆者は本作をギリシャの歴史書片手にプレイしたが、遊ぶほどに再現度の高さに感心させられた。「この道端にやたらと置いてあるオッサンの石像は、ヘルメス柱像と言ってお地蔵さんのようなものなのか……」と古代ギリシャ美術について学びながらプレイすれば、気分はまるで観光旅行。


 『レッド・デッド・リデンプション2』も温度によって馬の睾丸のサイズが変わる、食べ過ぎると太るなど、ゲームらしいインタラクティビティのある美術表現に、ただならぬこだわりが感じられる。


 私の予想では、受賞作は『アサシン クリード オデッセイ』! 理由は“狩猟の女神アルテミスに胸毛を抜かれ、その部分の胸毛が生えてこなくなった”という逸話を持つサイクロプス・ブロンテスの胸をゲーム内で確認したところ、しっかり胸の部分にアザがあったから。どこまでやるんだUBI。


 さて以上、GOTYほか2部門の受賞作の予想をお届けした。今回予想した作品は以下の通り。


GOTY:『Marvel’s Spider-Man』
Best Narrative:『ゴッド・オブ・ウォー』
Best Art Direction:『アサシン クリード オデッセイ』
(『The Game Awards 2018』は他にも多くの部門が存在するが、文字数と既プレイのゲームの数を考慮して今回は3部門の予想にとどめた)。


 受賞作は日本時間で12月7日の午前10:30から発表される。発表後の速報記事はリアルサウンド テックでも配信する予定だ。受賞作を確認して未プレイのゲームがあれば、年末年始の休暇に遊んでみるのはいかがだろうか。


(脳間寺院)