2025年の万博の開催地が大阪に決定した。ロシアのエカテリンブルグ、アゼルバイジャンのバクーとの候補地争いを制した形だ。日本で国際万博が開かれるのは、2005年の愛・地球博以来になる。
誘致委員会のHPによると、大阪万博は2025年5月3日から11月3日にかけて開催される。日数でいうと185日間だ。主な会場になるのは大阪湾の人口島・夢洲で、来場者は2800万~3000万人、誘致委員会は2兆円の経済効果があると試算されている。
2020年の東京オリンピックに続く国際イベントの決定に歓迎の声がある一方、開催によって「税金が増えるのでは」と、財政上の負担を懸念する人も少なくない。
会場建設費は1250億円、経済効果は2兆円を想定
2017年に万博検討会が出した報告書では、大阪が候補地に挙がったのは、大阪の持つ食文化や多様な企業による経済活動といった街の魅力に加え、夢洲に会場用地を確保することが可能だったためと説明している。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマは「多様で心身ともに健康な生き方、持続可能な社会・経済システム」。また、大阪万博が目指すものとして2つが挙げられていて、1つは「国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)が実現される社会」、もう1つは、国の掲げる国家戦略「Society5.0」の実現だ。
一方、気になるのが開催費用だ。毎日新聞によると、既に誘致費用だけで36億円の支出があったという。このうち26億円を国、4億円を大阪府・市が負担した。
報告書によると、会場建設費用は1250億円を予定しているという。報告書には「上振れしないよう効率化を徹底する」ともあるが、2020年の東京オリンピック開催費用が当初の予定より大きく膨らんだことを考えると、一抹の不安が残る。
「祭りをやれるだけやって無意味なハコだけ増えてゆく」
1月まで立候補していたフランス・パリは、「誘致計画の経済モデルでは納税者がリスクを負わない保証がない」ことを理由に立候補を取り下げている。開催決定を受けネットには、
「オリンピック!万博!リニア!って感じで祭りをやれるだけやって無意味なハコだけ増えてゆく」
「万博、大阪が選ばれたことは嬉しいけど、オリンピック、万博とお金をバンバン使う余裕が今の日本にあるのかと不安になる」
「税金と資源の無駄使いでしかない」
と、開催に否定的な声が多数出ている。
ただ、夢洲は元々、2008年夏季のオリンピック誘致「大阪オリンピック構想」で拠点として考えられていたものの、その後有効な活用方法が見出されず、「負の遺産」と化していた土地だ。隣の舞洲にはホテルや室内競技場の舞洲アリーナ、セレッソ大阪の練習場などがある一方、夢洲は大部分が空き地のままになっている。そのため、今回の万博決定で「夢洲の活用策が出来て良かった」「これで悲惨な夢洲に息が吹き込まれる」と喜ぶ声も見られた。
外務省の資料によると、1985年に筑波研究学園都市で行われた国際科学技術博覧会では2033万人、2005年に開催された愛・地球博では2204万9954人の人出があったという。検討会の報告書では「これまで日本で開催された万博は全て黒字」ともあるが、今回も安心して良いのかは疑問だ。