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安田顕と森崎博之が意気投合 『下町ロケット』TEAM NACSの2人が伝えるモノづくりの精神

2018年11月26日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜劇場『下町ロケット』(TBS系)が「ヤタガラス編」に移り、ストーリーにおける大事なキーマンが一人、新たに登場した。それが、北海道農業大学の教授で、佃航平(阿部寛)の大学時代からの友人である野木博文(森崎博之)だ。


参考:<a href=”http://www.realsound.jp/movie/2018/11/post-283441.html”>その他画像はこちら</a>


 大学で無人農業ロボット研究を続けている野木は、これからの農業の未来を支える技術を持った重要人物。かつて提携を結んだキーシンの社長・戸川譲(甲本雅裕)から研究データを持ち逃げされたのがトラウマとなり、外界とは距離を取っていた。そこに現れたのが大学時代、一緒に人工衛星の研究に没頭したよしみの佃。昔話に花が咲き、心を開いた矢先に姿を見せたのが帝国重工の財前道生(吉川晃司)だった。佃の説得と部下から絶大な信頼を持つ財前の品格に、野木も段々と心惹かれていった。


 野木のメイン回と言える第7話で、心を熱くさせるのが財前の代わりに窓口に立つことになった帝国重工・奥沢靖之(福澤朗)に野木が歯向かう場面だ。帝国重工にはしごを外された佃製作所は、農業のもっと先の未来を見据えるため、野木と手を組み、無人農業ロボットの開発を独自で進めることに。佃製作所の面々と野木が話すところに、奥沢がやってきて鉢合わせとなる。プロジェクトの邪魔をされたくない奥沢は佃に向かって「下請けさんはこちらの指示に従えと言っているんです」と命じる。


 元々は、佃の野木への働きかけと財前の人柄があって、付き合いが保たれていたのだが、担当も代わり、高圧的な態度で接してくる奥沢を野木は全く信用していなかった。野木が佃や財前に信頼を寄せていたのは、生産者であり、トラクターを使用する農家の人、農業の未来を思ってプロジェクトを進行しているからだ。しかし、奥沢は農家の人どころか、野木すら見えておらず、欲しいのは無人農業ロボット用の開発コードだけ。野木は農業の未来を考え、その開発コードを全世界に公開すると言い放ち、動揺する奥沢に「よそよりも優れたものを下請け抜きで、つくれるもんならつくってみろ!」と怒号を飛ばす。正義を持って、下請けが大企業に歯向かう勇気。佃たちと笑顔で話す温厚な野木が鋭い眼光で睨みを利かせる。野木にも流れるモノづくりの精神が伝わってくるシーンだ。


 そして、第6話よりネットをざわつかせているのが、山崎光彦を演じる安田顕と森崎の共演だ。説明するまでもないが、2人はTEAM NACSのリーダー(森崎)とサブリーダー(安田)の「ワンツー」コンビ。「ヤタガラス編」が北海道を舞台にしたストーリーであることもニヤリとさせられるポイントだ。第6話ではニアミスしていた2人であったが、第7話ではついに意気投合。野木の言う“大きな未来”に山崎は「米づくりだけが農業じゃないってことですかね」とジャガイモやトウモロコシを例に挙げ、さらに発展したトランスミッションの在り方を提示する。「そう! まさにそのとおりなんだよ」と山崎の話に感銘を受ける野木の姿は、どこか嬉しくなる構図。「ジャガイモにトウモロコシ……あっ、全部北海道の名産品ですね」と加納アキ(朝倉あき)がさらに北海道を強調するセリフに、思わず笑ってしまった。これで焦らされていたナックスファンの心も治まったのではないだろうか。


 物語は、帝国重工の次期社長候補・的場俊一(神田正輝)が無人農業ロボット「アルファ1」を発表する一方で、的場に復讐を燃やす重田登志行(古舘伊知郎)、伊丹大(尾上菊之助)らが下町トラクター「ダーウィン」を完成させる。激化する開発競争の裏で、板挟みにあう財前、伊丹に裏切られた島津裕(イモトアヤコ)は何を思うのか。


(文=渡辺彰浩)